食事でリハビリ効果が向上
そしゃく機能の改善を

  寝たきりになる原因で一番多いのが、脳卒中の後遺症。社会復帰に欠かせないリハビリテーションの動機付けとして、食事が注目されている。脳損傷後の機能回 復を研究している鹿児島大霧島リハビリテーションセンターの川平和美センター長は「食事がうまくできないと、食物をのどに詰まらせた り、誤嚥(ごえん)による肺炎を起こしたり、致命的な事故にもつながりやすい」と、そしゃく機能改善の重要性を指摘する。

生活の質向上で意欲

 食事は生活の基本。脳卒中患者にとっても、それは変わらない。脳卒中を繰り返した患者には、食物を上手に飲み込めない嚥下障害が多いことは知られている。 さらに片側の手足がまひした程度でも、唾液(だえき)の分泌が極端に落ちたり、口の筋肉がまひしたりして、食べられなくなることがある。
  倒れた直後は高カロリー輸液などで栄養を補給できるが、食べられない期間が長引くと、どうしても全身が衰弱し、感染などを起こしやすい。川平さんは「それではリハビリに取り組むことは難しくなる。口から食べられるようになって生活の質が向上すれば、リハビリへの意欲がわくのではないか」と話す。
  では、どうしたら食事ができるようになるのだろう。川平さんらが注目したのはチューインガムの効用だ。センターの研究員で、鹿児島県霧島市で歯科医院を開業している川坂哲男医師らと協力し、ガムをかめる状態の患者10人に毎日朝夕の30分間、かんでもらった。


動機付けとして大切

 ガムは歯につきにくく、唾液の分泌を促すようにレモン味にした市販のものを使用。その結果、2週間後には明らかに唾液の分泌量が増え、使われないため低下してしまっていた口の筋肉も回復する可能性が判明した。
 唾液の分泌が増え、口腔(こうくう)の機能が向上すれば、うまく食べられる。食事を楽しめれば、しめたもの。リハビリへの意欲もわいてくる。
 「リハビリがうまくいくかどうかは、患者がどれだけ前向きに取り組むかにかかっている。その動機付けとして食事は大切だ」と川平さん。
 川坂医師も「そしゃく回数が増えると脳が活性化するとの報告もあり、そしゃく訓練でリハビリの効果をアップすることができるのではないか」と期待している。




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