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仕事を成し遂げたという充実感や開放感、あるいは目標や生きがいを失ったような寂しさ、むなしさ―。人によってさまざまに感じる定年や退職をきっかけに、うつ病になる人が増えているという。産業医大(北九州市)の中村純教授(精神医学)に聞いた。
―病気になりやすいタイプは。
「一般に、きちょうめんでまじめ、物事に執着する性格の人と言われます。そこそこの地位にいて『みじめな辞め方はできない』と周囲の評価が気になる人や、『自分のせいで仕事が失敗したのではないか』と悲観的な人。課長のときには上から言われたことはきっちりとこなしたが、自分が部長になったら下に任せられない、というように、新しい地位や身分に適応できない人もです」
―治療について教えてください。
「まず、ゆっくり休んで心身の疲れを癒やす。症状が本当に悪いときは、自殺の恐れがあるので入院した方がいい。うつ病自体は女性に多いのですが、自殺の4分の1は50代で、その7割を男性が占めています」
―どこに入院を。
「普通は精神科ですが、精神疾患への偏見があり、働く人が休養する場所がなかなかないのが現状です。自宅で休むように言っても、本人が近所の目を気にしてしまう。増えつつあるストレスケア病棟を利用するのも一つの手です」
―気晴らしは。
「旅行や転地療法は、症状が最も悪いときには、逆効果で良くありません。周囲が誘うと、患者は断り切れずに付き合うが、疲労感が残るだけ。自ら『行きたい』『やってみたい』と思うのなら試みてもいいでしょう」
―大切なことは。
「生活のリズムをつくること。うつの症状の一つである不眠であれば、昼間に体を動かす。また、症状が良くなってきたら、周囲が少し背中を押してあげることも重要です。わたしは『やりたいことの半分だけやっては』と言っています。実行できたという満足感と、それに伴う疲労感を自覚してもらうのです」
(続く)(2007/4/17)
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