体のねじれ電気刺激で治療
筋肉異常収縮のジストニア
脳に電極、東京女子医大
   筋肉の異常収縮で全身や体の一部が不規則にねじれたりする「ジストニア」を、脳内に入れた電極からの刺激で改善しようとする外科治療を、東京女子医大(東京都新宿区)などが進めている。症状を引き起こす脳神経ネットワークの乱れが、電気刺激で調えられるとみられ、患者の4人に1人が顕著に改善したという。
▽10万人に15人
 岐阜市に住む40十代の男性会社員は約8年前に発症した。「顔がゆがみ、ちゃんとしゃべれないので、人とコミュニケーションが取れないのがつらい」
 病院を転々とし、今年3月に女子医大で手術を受けたところ、翌日には首のつっぱりがとれたという。
 ジストニアは、脳の特定の部位に機能異常が生じ、筋肉が意思に反し収縮して起きると考えられている。1970年代に神経疾患と認識されるようになったが、詳しい原因や仕組みは不明。
 首が反り返ったり顔の表情がゆがんだりする動作性のものと、肩が上がる、首がねじれるといった異常な姿勢が続く静止性のものと、大きく2つのタイプがある。
 同大脳神経外科の落合卓助手は「幼少期に発症することが多い遺伝性のものを含め、発症年齢は小児から老年までさまざま。食べ物がのみ込めない、呼吸筋が弱るなどして死亡することもあります」と説明する。
 国内の有病率は10万人当たり15人前後。ボツリヌス毒素を使って筋肉の緊張を緩和する治療や、薬物療法も実施されている。
 ▽リズムを取る
 電気刺激を与える「脳深部刺激療法」は、パーキンソン病でジストニアに似た症状の患者に効果があると90年代に報告され、ジストニアでも本格的に始まった。
 女子医大では、頭に1円玉ぐらいの穴を二カ所開け、直径1ミリ余りの電極が先端についたシリコーン製の細長い棒2本を、脳表面から約7・5センチの深さまで入れる。
 平孝臣講師は「ジストニア患者では、脳で運動の働きを調整する部位の調子が乱れているが、1秒間に200回近い電気刺激を与えることでリズムが取れるようになります」と話す。
 電極を最適の位置に入れられるよう、事前に磁気共鳴画像装置(MRI)などで頭部を撮影。挿入の際は、テスト電流を流して患者の状態を確かめながら慎重に行う。
 手術後は数週間の試験刺激期間を設け、効果が望める人にだけ、バッテリーを左右の胸に埋め込み、皮下にコードを通して電極と接続する手術をしている。入院期間はトータルで1―2カ月。電気刺激は常時続けるため、バッテリーは平均約3年で交換が必要という。
  ▽5年以内が良好
 2002―06年に同大で手術を受けた7―81歳の男女41人のうち、「寝たきりだったが歩けるようになった」など症状がほとんど残らない「顕著な改善」は10人、4―8割良くなった「中程度」は20人、「低い改善」は効き目がなかった1人を含め11人だった。
 罹患(りかん)期間は4カ月から50年と幅があったが、発症から5年以内に手術を受けた方が有効性が高かった。一方で、話しにくくなる軽度の障害が出たケースがあり、「感染症や手術時の脳内での出血にも注意が要る」と落合助手。
 平講師は「診療は主治医から紹介があった患者に限っており、電話やファクス、電子メールでの問い合わせには応じられない」としている。(共同通信 谷本敏之)

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