『脳をはぐくむ 1』

眠りで分かる脳の発達 
瀬川昌也院長

 大人の生活リズムの変化に伴い、宵っぱりの子供が増えている。だが、脳の正常な発達には、乳幼児期の正常な睡眠が欠かせないという。キレる子供や不登校の原因につながるとの指摘もあり、専門家は「子供の眠りが危ない」と危機感を募らせる。発達障害児治療に詳しい瀬川小児神経学クリニック(東京)の瀬川昌也(せがわ・まさや)院長に聞いた。

 ―子供の眠りは大人とは違うのでしょうか。

 「眠りはセロトニンやノルアドレナリン、ドーパミンといった物質で脳の神経に作用するアミン系神経系が制御しています。子供でもこれは同じですが、同時にこの神経系は生まれた後の脳の発達にも重要な働きをしています。子供が良い睡眠をとっていれば、この神経系が正常に働き、脳はきちんと育っている。逆に、眠りの質が悪ければ、脳の発達に悪影響を及ぼす。いわば、眠りは脳の発達を見る指標です」

 ―「寝る子は育つ」と言いますからね。

 「いや、それが誤解の元なんです。正しくは『昼間ちゃんと起きて、夜寝る子が育つ』と言うべきです。生まれたばかりの赤ちゃんは終日、とろとろ眠っていますが、だんだん昼夜の区別が付いて起きている時間が長くなる。これを睡眠覚醒(かくせい)リズムと呼び、4、5歳ごろまでに完成します。月齢に合わせ、このリズムが順序だって確立することが大切。そうでないと、脳は本来の力を発揮できなくなります」

 ―大人が思う以上に眠りは重要なんですね。

 「生まれた時の脳は、それぞれの神経がしかるべき位置にセットされているだけ。睡眠と目覚めを繰り返す中で、それを動かすプログラムができるんです。例えば野球でも、いい選手をかき集めても、チームプレーの訓練をしないと勝てない。それと同じです」



ヘッドラインへ戻る

記事、写真、グラフィックスの無断転載を禁じます。
2005 Kyodo News (c) Established 1945 All Rights Reserved