リツキサンに期待
悪性リンパ腫の治療
抗がん剤との併用に利点

 昨年秋、悪性リンパ腫の治療薬「リツキサン」(一般名、リツキシマブ)が保険適用となり、すべてのB細胞リンパ腫の治療に使えるようになった。この薬は、Bリンパ球だけが持つ目印を狙い、Bリンパ球を殺してしまう「モノクローナル抗体」と呼ばれる分子標的薬で、抗がん剤より副作用が軽いことが特徴だ。
 
 ▽血液の悪性腫瘍
 「B細胞リンパ腫は、悪性リンパ腫全体の6-7割を占めている。リツキサンが認められたことで、悪性リンパ腫の中でも最も主要なターゲットに使えることになった」と国立がんセンター中央病院血液内科の飛内賢正(とびない・けんせい)医長。
 「抗がん剤とリツキサンを併用することも多くなり、治癒率が高まることが期待される」と話す。
 悪性リンパ腫は、白血球の1つであるリンパ球ががん化した病気。
 「血液の悪性腫瘍(しゅよう)では、このほか白血病と多発性骨髄腫の3つが主な病気だが、悪性リンパ腫は全体の半分以上を占め、頻度では白血病の2倍ぐらいある。有名ながんではないが、がん全体では、日本でも10位以内に入るぐらい多く、決して珍しい病気ではない」(同医長)
 同センターでは、毎年300人前後の新規患者があるという。

 ▽Bリンパ球を攻撃
 悪性リンパ腫には、さまざまなタイプがあり、タイプによって症状も治療の仕方も異なる。
 悪性リンパ腫の半分以上は、首やわきの下、足の付け根などのリンパ節が腫れてくるという特徴があるが、体の表面には出ずに、臓器にできるリンパ腫もある。他のがんが疑われ、検査で初めて悪性リンパ腫と分かるケースも多い。
 リンパ球には、BとT、NKの3種類の細胞があり、リツキサンが攻撃するのはBリンパ球ががん化したB細胞リンパ腫だ。
 リツキサンは当初、2001年秋にB細胞の低悪性度リンパ腫など、限られたものだけに使用が認められた。
 「低悪性度リンパ腫は、症状が出にくく、進行は遅いが、抗がん剤が効きにくかった。しかし、リツキサンは、単独でも抗がん剤投与後の再発例の5-6割によく効き、平均して1年弱は効果が続く。これは従来の抗がん剤と比べると大きな効果」と飛内医長。

 ▽外来で治療
 リツキサンは、今までの抗がん剤の量を減らさずに併用できるという長所がある。
 「リツキサンは、慣れた施設ほど外来で使われており、国立がんセンターでは8-9割は外来で使っている」(同医長)
 悪性リンパ腫は、タイプがいろいろあって、治りやすいものや、治りにくいものもある。しかし、放射線と抗がん剤の双方が有効な病気で、大まかに言うと、全体の半分以上は治っている。白血病や多発性骨髄腫よりは治療成績が良いという。
 飛内医長は「悪性リンパ腫の問題は、ほかのがんと比べて、診断が難しいこと。タイプによって治療が異なるので、正確な診断が欠かせない。最初の診断が正確でないと適切な治療が受けられないので、専門の施設で診断を受けてほしい」と話している。


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