口の中に痛みやかゆみ
新しい食物アレルギー
運動で現れるケースも

 アトピー性皮膚炎と関係が深い乳児期の食物アレルギーとは別に、幼児期以降に魚介類などで起こる食物アレルギーは成人型と呼ばれることもある。最近は、これまで見られなかった2つの新タイプのアレルギーとして、「口腔(こうくう)アレルギー症候群」や「食物依存性運動誘発性アナフィラキシー」が出てきているという。アナフィラキシーは重篤なアレルギー反応を指す。
 
 ▽治りにくい成人型
 成人型の食物アレルギーでは、ぜんそくなどの呼吸器症状や、じんましん、下痢、嘔吐(おうと)などが現れる。
 「魚介類のほか、果物やソバ、ピーナツなども原因となる。成人型は意外と治りにくく生涯続くケースも多い。現時点では原因物質を避けるしかない」と国立病院機構相模原病院臨床研究センターの海老沢元宏(えびさわ・もとひろ)アレルギー性疾患研究部長。
 「取る量や体調によっても症状の出方がかなり違う。普通はじんましん程度なのに、風邪だったり、薬をのんでいたりして、劇的に出ることがあり得る」と指摘する。
 新タイプの口腔アレルギー症候群は、果物や野菜などを食べたときに、口の中がイガイガ、チクチクしたり、痛みやかゆみを感じるのが特徴。
 1980年代に欧米で報告され始め、日本でも90年代から急増。一時期若い女性で目立ったが、今は低年齢の子供のケースが多い。花粉症と関係している場合と関係していない場合がある。

 ▽ショック症状も
 「原因となるのは、キウイフルーツやメロン、モモ、リンゴなどの果物や野菜。口の粘膜から吸収されて反応が出る。口腔内だけに症状が見られることが多いが、ショック症状が出ることもある」と海老沢部長。  リンゴ中のタンパク質はシラカバ花粉と成分がそっくりで、同じアレルギー反応が起きてしまう交差反応が指摘されている。果物は火を通すと大丈夫なことが多くなる。
 食物依存性運動誘発性アナフィラキシーは、まれな疾患だが、特定の食物と運動の組み合わせでじんましんから始まり、呼吸困難などのショック症状になることがある。
 同部長は「中学生以上に多く、原因として頻度が高いものは小麦と魚介類。普段食べているときは何ともないが、昼食に食べて、激しい運動をしたときに起こる。てんかんの発作などと間違われることがある」と話す。

 ▽サッカーで発症
 相模原病院に運び込まれた男子中学生は、シーフードドリアを昼に食べた後にサッカーをして発症。じんましんが出て、呼吸が苦しくなり、救急車で運ばれた。顔面が腫れて目が開かないほどだったという。
 「調べると、エビが原因だった。血液検査や皮膚テストをやるが、実際に食物と運動負荷試験を実施して確かめた。一つ間違えると危ないが、原因を突き止めないと、何に注意すべきか分からないから」(同部長)
 アナフィラキシーなどのショック状態では、末梢(まっしょう)血管が開いて低血圧となり、心臓が空打ちして頻脈になる。このため、早くエピネフリンを注射し、末梢血管を収縮させて、血圧を回復させる必要がある。
 食物アレルギーでは、食品衛生法改正で2002年4月からアレルギー物質の表示が法律で義務付けられた。卵、乳または乳製品、小麦、そば、ピーナツの5品目については、表示しないと刑事罰の対象となる。表示の奨励は19品目。
 海老沢部長は「ただし、加工食品だけが対象なので、外食産業や店頭販売の食品適用されない。アレルギーを持つ人は外食しにくい状態が続いている」と話している。

 

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