骨代謝活発化で骨折
骨粗しょう症で判明

 高齢社会の到来で増えている骨粗しょう症は、女性に多く、お年寄りの骨折原因の一つだ。骨折は骨がもろくなって起こるが、そうした状態で骨の代謝が活発になっていると、より骨折しやすくなることが最近の研究で明らかになってきた。

▽骨吸収マーカーに注目
 骨粗しょう症は、骨の主成分のカルシウムやコラーゲン、リン酸などが減少して、骨の構造が粗くなりスカスカになった状態。加齢などにより、骨の形成が吸収(骨の破壊)に追いつかない結果、骨が減少してしまう。
 産業医大整形外科の中村利孝(なかむら・としたか)教授のグループが骨粗しょう症と診断された女性280人(平均64歳)のデータを調べたところ興味深い事実が浮かび上がってきた。
 1年半の経過観察で、30人が背骨を骨折していた。骨折していない残りの250人と比較すると、骨折した30人は①骨密度が低い②それまでにも骨折の経験があるさん③年齢が高い④骨代謝が活発なことを示す「吸収マーカー」が平均で2倍高い-などの特徴が見られたからだ。
 中村教授が注目するのは、吸収マーカーが高い点。このことは、形成と吸収が活発になっていることを示しているが、データはさらに、骨密度が減少している場合、代謝が活発になると、骨がもろくなってしまうらしいことを表していた。
▽増える治療の選択肢
 骨吸収マーカーと骨折の関係を裏付けるデータは海外で続々と出ている。骨を溶かしていく破骨細胞の活動を抑えるビスフォスフォネート製剤と呼ばれる骨吸収抑制剤による1年間の治療で、腰椎(ようつい)の骨密度が増加しなくても骨折のリスクが25%低下。その上、骨密度が1%増加すると、さらに3ポイント低下して28%になる。
 骨吸収を抑制しただけで、なぜ骨折のリスクが減少するのか。「骨吸収を抑制し、骨の代謝を抑えることによって、骨の微細構造が安定し、骨質を改善しているらしい」と同教授。
 このほど日本に登場した骨吸収抑制剤のラロキシフェン(エビスタ錠)は、骨にある女性ホルモン受容体にくっついて働くというユニークな作用を持つ。骨折防止効果が大きく、1年後の脊椎(せきつい)骨折防止効果は、骨密度の増加なしでも骨折のリスク低減は30-40%に達する。
 「日ごろから吸収マーカーをチェックしていけば、骨折のリスクをある程度予測できそうだ。骨吸収抑制剤は既に2剤が出ているが、ラロキシフェンが加わったことで治療の選択肢が増え、より個人に合った治療が可能になってきた」と中村教授は歓迎している。

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