糖尿病性腎症に降圧薬
国際共同試験で初の承認

 国内で広く使われている降圧剤「ニューロタン」(成分名ロサルタンカリウム)がこのほど、2型糖尿病で起きる腎症にも使えるようになった。糖尿病性腎症の初の治療薬となるだけでなく、日本人も参加した大規模な国際共同試験による初の承認例。遅れがちな日本の新薬承認が早まることが期待される。
 腎症は網膜症や神経障害と並び、糖尿病の三大合併症の一つ。腎臓は糸球体と呼ばれる部分で血液を浄化し、不要なものを排出する尿をつくる。糖尿病になると、糸球体に血液を送る輸入細動脈が拡張するため血液の流入量が増え、高血圧になって組織が損傷する。

▽ 28カ国で治験

 日本でも糖尿病の増加に伴い腎症患者は増加している。透析を始める人は20年前の年間1万人台から、現在は3万人を突破。原因疾患としても1999年に糖尿病性腎症が1位になり、現在は40%以上を占めている。
 ただ従来の治療は、血糖コントロールと厳格な血圧管理(130―80未満)が基本だった。
 万有製薬のニューロタンは、降圧剤の中でもアンジオテンシン受容体拮抗(きっこう)薬(ARB)と呼ばれる種類で、血圧を上昇させるホルモンの働きを妨げる。糸球体から血液を送り出す輸出細動脈も広げるため、結果的に糸球体内の血圧も下げる。
  臨床試験(治験)は96年から2001年にかけ、28カ国の患者1513人が参加して実施。その結果、透析や腎移植が必要になるなどの腎症の進行を 28%抑制、糸球体の損傷を示す尿タンパクも減少。心不全での入院も30%減らした。これを受け、米国では02年に糖尿病性腎症治療薬として承認された。

▽ 積極的に参加

 治験には日本人患者も全体の約6%に当たる96人が参加しており、国内でも同年4月に承認申請されていた。
 巨額の経費がかかる新薬開発は近年、多様な人種を組み込んだ国際共同治験が増えている。それに参加することが早期承認につながるが、これまでは日本人患者の少なさや、行政当局の日本人データ重視などが壁になり、国際治験の利用はなかなか実現しなかった。
 治験の日本側責任者を務めた日本学術会議の黒川清会長は「申請から4年もかかったが、追加試験の指示もなく承認された。今後は国際共同治験に積極的に参加するべきだ」と話している。



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