不妊相談、徐々に活動開始
各地の自治体で
 不妊に悩む患者の支援を目指して昨年設立された「日本不妊カウンセリング学会」の第2回学術集会がこのほど東京で開かれた。
 国の少子化対策の推進政策に伴い、各地で設立された自治体による無料の不妊相談センターが徐々に活動を始めている一方、現場の医療機関などでも、心理療法士などによる不妊専門のカウンセリングが着実に広がりつつあるようだ。
 自治体による不妊専門相談センターは、一昨年までに24都道府県が設立されているという。
▽半数以上が不妊の悩み
 相談センターは、行政サービスとして、まだ不妊治療を受けることを決めていない人たちも含めた相談を受け付ける点に特徴がある。
 今回の学会で報告した山口県立中央病院は自治体の相談センターとして、1993年に「女性の悩み相談室」を設立し、97年からは「不妊専門相談センター」の委託を受け、不妊相談などを実施してきた。
 担当者は、相談は年々増加しており、総数約8700件のうち、半数を超える約4560件が不妊に関する相談だったという。
 この2年間の2190件の分析では、女性の体についての基本的な知識や不妊治療、検査、治療費などに関する質問が64%と最も多く、治療への不安や迷い、不満についてが26%、夫婦や家族、周囲などとの人間関係についての悩みが10%だった。
 相談の約4分の3の72%が他府県からで、潜在的な需要は多いようだ。
 不妊の相談は複雑多岐で、医学的な情報提供だけでは解決できないことが多く、最近は「不安や不満」「人間関係」についての相談が増加してきているのが特徴と担当者は指摘する。
▽必要な心のケア
 一方、不妊カウンセリング担当者たちが口をそろえて指摘するのは、不妊治療の「先が見えないつらさ」だ。治療への期待と、体外受精などの失敗による絶望が延々と繰り返されることによる。
 多大な心身エネルギーと高額な費用をつぎ込んだ上に、患者は孤立や怒り、悲しみ、不安、自己否定の思いなどにさらされる。
 医療機関側でも、患者の心のケアのためにどの時点でカウンセリングをしたらよいのか、試行錯誤が続いている。費用やスタッフの問題もある。
 中央クリニック(栃木県)の不妊カウンセラーで、今学会会長の浜崎京子さんは「生殖医療の進歩や情報技術の発達で、さまざまな不妊治療の情報が入る時代になったが、患者にとっては逆に悩みが深くなったとも言える。心のケアがますます必要とされている」と話している。



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