乳がん再発防止に期待
アロマターゼ阻害剤
データの蓄積は着々

 早期乳がんの手術後、がんの再発を防ぐ目的で行われるホルモン療法では、これまで抗エストロゲン(女性ホルモン)剤「タモキシフェン」が長い間使われ、再発を約半数以下に減少させるとされてきた。しかし、最近、アロマターゼ阻害剤という新しい薬が、タモキシフェンを上回る成績を次々と出し始め、近い将来、アロマターゼ阻害剤が主流になりそうな勢いになっている。
 
 ▽タモキシフェン
 乳がんの約6割を占める女性ホルモン感受性の乳がんでは、がん細胞はエストロゲンによって増殖するとされている。閉経後の早期乳がんの場合、感受性が陽性の患者には標準的な術後補助療法として、タモキシフェンが投与されてきた。
 「タモキシフェンはエストロゲンが乳がん細胞に結合するのを妨害する。1970年代から使用されてきたが、これまでの分析から、術後5年間の服用で50-70%の再発を抑制することが分かっている」と渡辺亨・国際医療福祉大臨床医学研究センター教授(山王メディカルプラザ・オンコロジーセンター長)。
 しかし、5年以上の服用は再発率が上昇することが分かり、服用は5年間までとされている。
 女性の閉経後、卵巣はエストロゲンの生産をやめるが、体内の脂肪細胞がつくり続ける。アロマターゼ阻害剤は、このエストロゲンづくりを阻止する働きをする。

 ▽次々と比較試験
 アロマターゼ阻害剤はタモキシフェンとともに、閉経後に再発した乳がんの治療薬として既に使われてきており、アロマターゼ阻害剤の方が優れているというデータが出ている。
 「その流れを受けて、再発を事前に防ぐ術後補助療法としてアロマターゼ阻害剤が使われ始め、最近の証拠として、再発抑制効果も強いということがデータとして出てきた」と渡辺教授。
 アロマターゼ阻害剤にはいくつか種類がある。「アナストロゾール」(商品名、アリミデックス)の無作為化比較試験では、閉経後乳がん手術を受けた約9000人を、タモキシフェン単独とアナストロゾール単独、双方使用の3群に分けて5年間の服用で比較。アナストロゾール単独が一番効果があり、併用はタモキシフェン単独とあまり差がなかった。
 「レトロゾール」(商品名、フェマーラ、日本未発売)の試験結果は昨年11月に報告された。
 タモキシフェンを5年間服用した患者約5000人を、レトロゾールと偽薬を投与する2群に分け、5年間それぞれ投与した後、比較した。

 ▽明るい展望
 「結果は、偽薬に比べ、レトロゾールの方が4割ぐらい再発を抑えたことが分かった。このことで、またアロマターゼ阻害剤に注目が集まった」(渡辺教授)
 さらに、今年3月報告されたもう一つのアロマターゼ阻害剤「エキセメスタン」(商品名、アロマシン)の場合、タモキシフェンを2-3年服用した約4700人を、そのままタモキシフェンを続ける人とエキセメスタンに切り替える人の2群に分け、計5年経過した時点で比較した。
 結果は、タモキシフェンに比べ、エキセメスタンの群で再発が3分の2に抑えられたという。
 渡辺教授は「現在、アロマターゼ阻害剤の評価に関しては、まだ混沌(こんとん)としている。データから、アロマターゼ阻害剤が良いのではないかという意見や、まだという人も。かなり良いデータが出ているという明るい展望はある」と話している。

 

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