慢性の不安で心身不調に
見逃される全般性不安障害
日本人の3%が可能性



  ストレスの多い現代社会。仕事や勉強、家庭など心配になることは誰にでもある。だが、理由もなく不安な状態が半年以上続き、頭痛や肩凝り、不眠などを伴ったら全般性不安障害(GAD)という病気かもしれない。パニック障害などと同じ不安障害の一つで、日常生活への障害だけでなく、うつ病などを高率で併発する。あまり知られていないが、日本人も3%程度は発病している可能性が分かってきた。
 ▽影響はうつ病に匹敵
 「生活の質(QOL)への影響は、自殺のリスクは比較的低いものの、その他は軽いうつ病に匹敵する。よく眠れず、頭痛や肩凝りがして、神経過敏でピリピリ、イライラの状態がずっと続く。当然怒りっぽくなる。本人も悩み、周囲も困る」杏林大保健学部の田島治(たじま・おさむ)教授(精神保健学)はこう述べ、GADは「本人だけでなく、家族など周囲への影響も深刻な病気だ」と説明する。  従来は不安神経症などと呼ばれ、神経質な性格のために起きると考えられていた。その後、米国で診断基準が作られ、パニック発作を伴うパニック障害やGADなどに分けられた。GADの原因はまだよく分かっていない。だが性格やストレスだけが原因ではなく「何らかの拍子に、不安や情動を調節する脳の働きがアンバランスになり、その結果、心配、緊張、不眠などの症状が出てくるのではないかと推測されている」(田島教授)という。
 ▽ほとんど未受診
 国内の患者数もよく分かっていなかったため、田島教授らはこのほど、全国二万四千人を対象にインターネットでスクリーニング調査を行った。  調査には米国精神医学会の診断基準に従った質問票を使用。最近半年以上、「いろいろなことがいつも不安だ」と「ささいなことが心配になり、止まらない」の二点に該当し、さらに「原因不明の頭痛、痛みがある」「寝付けない、熟睡できない」など、複数の症状のうち、三つ以上に該当した人をGADの可能性があると診断した。  その結果、回答者の3・2%が陽性と判明。男女の割合はほぼ同じで、年齢別では十五―十九歳が4・2%と最も高かった。陽性者のうち通院中は6・8%しかおらず、83・8%が受診したことがなかった。  QOLに関しては「眠れなくて体の疲れが取れない」「イライラして子供や家族にすぐにあたってしまう」「集中力が落ち、会社や学校での仕事や学業の能率が悪い」などの訴えが上位を占め、深刻な影響を裏付けた。
専門医に受診を
 受診率が低いのは「肩凝りやめまいなど、一つ一つの症状は誰にもあるようなもので、患者が病気と思わないため」と田島教授。さらに「受診しても不定愁訴や自律神経失調症などとされ、正しく診断されないケースが非常に多い」という。  治療はストレスの原因となった職場や家庭の状況を改善する「環境調整」や、神経の緊張を和らげる定期的な運動などが有効。症状が重い人には薬物治療も行われる。  GADでイライラや頭痛、肩凝り、不眠などが半年も一年も続けば、それ自体が大変なストレス。うつ病など他の心の病気を併発する割合は90%近くに上るともされる。  田島教授は「軽症の人は運動などの自分に合った方法で対処できることもあるが、日常生活に支障が出るほど症状が強い人は、心療内科や神経科などの専門医に相談してほしい」と話している。

 







ヘッドラインへ戻る

記事、写真、グラフィックスの無断転載を禁じます。
2005 Kyodo News (c) Established 1945 All Rights Reserved