| 医療に対して悩みや不安が生じたとき、家族や知人など身近に相談できる人がいると心強い。しかし、「もう少し専門的な支援が欲しい」と感じることも多いだろう。そういう人のために、患者や家族の伴走者になってくれる「医療コーディネーター」という人たちが活動し始めている。
▽主治医への不信感
「医療コーディネーターは、医療上のさまざまな選択などについて悩む患者さんや家族を支援し、主体的に医療参加できるようサポートすることが仕事」と「日本医療コーディネーター協会」(東京都江東区)の会長で看護師の嵯峨崎泰子(さがさき・やすこ)さんは話す。 同協会は、がん医療などに経験豊富な看護師や医師を中心に、10年前から活動を続けてきた。 依頼は「医師の説明に同席してほしい」「治療方針に納得がいかない」「体調が悪く、自分では動けない」などさまざまだが、がんに関することが7割を占めるという。 「多くは主治医に対する不信感が根底にある。患者さんは『言われたことは正しいことなのか』『患者として大事に扱ってもらっていない』という思いが強い」と嵯峨崎さん。さらに「病院の中は忙しく、コミュニケーション不足は否めない。正しいことなのに、うまく伝わっていないことも多い。『こういうことですよ』と背景を解説してあげるだけで解決することも多い」と指摘する。
▽本当にありがたい
ぼうこうがんで2年前にぼうこうを全摘した首都圏に住む40代男性Aさんは、がんが肺に転移、県立がんセンターで「もう治療法がない」と言われた。 「医師に見放されたと思ったときの絶望と不安。ありとあらゆることを調べたが、判断できる知識もなく、病院でも聞ける状態ではなかった」とAさんのお姉さん。 このままでは死ぬだけだと思い、インターネットで医療コーディネーターを見つけ、連絡を取ったという。 Aさんは「がんセンターでは『これを尋ねたら怒られるのでは』と、びくびくして聞いていた。病気でつらくて病院に行くのに、あちこちで怒られ、邪険にされた」と振り返る。 これに対し、コーディネーターの支援については「医療コーディネーターのところでは、何を聞いてもテキパキと答えてくれるし、わたしたちの代わりに主治医に確認や相談もしてくれる。こういう人たちがいてくれるんだと思った。本当にありがたい」と語る。
▽気楽に利用したい
乳がんで支援を受けている40代の女性も「医療コーディネーターは特殊な治療も含めて、医師からは来ない情報も教えてくれる。もっと人数が増え、気楽に利用可能になれば」と話す。 これまでコーディネーターは10人に満たず、口コミの世界だったが、昨年の養成講座でやっと人員が増えた。今春からは20人近くが加わり、各地で活動を始めている。 嵯峨崎さんは「コーディネーターは、病院の人や医療側の人ではなく、患者・家族の側に立って専門的な対応ができる人が求められている。依頼者は、自分に伴走してくれる人がいてほしいのだと思う」と話している。 相談料金は1時間1万500円。平均では1回1時間半、2回程度の相談で解決しているという。同協会のホームページはhttp://www.jpmca.net/、ファクスは0562(44)7886。
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