目の前で服薬確認
結核の治療を徹底

 日本で現在も年間3万人以上の新規患者が発生し、2千人以上が死亡している結核。1999年の非常事態宣言以降は、緩やかな減少が続くが、大都市部のホームレスらでのまん延や、昔感染した高齢者の発病が多く、治療薬への耐性菌増加などの課題もある。
 1人1人の患者をきちんと治すことが、感染拡大防止にも重要だとして、保健師などが服薬状況を確かめる「直接服薬確認療法」(DOTS)が広まってきた。
▽導入後は85%に上昇
 治療は、4種類の薬を1日1回、半年間服用する化学療法が標準的になった。服用後まもなく症状は改善し、たんの中の菌は大幅に減少する。
 「症状消失後も薬をのみ続けるのは難しいが、途中でやめると、菌が残って再び発症したり、耐性菌が出現したりする。その人にとっても周囲にとっても問題で、のみ続けられる方法が必要」と結核研究所の小林典子(こばやし・のりこ)保健看護学科長。
 そこで、患者が薬をのんでいるか、医療関係者らが確かめる服薬支援が80年ごろから米国などで始まった。米ニューヨーク市では、導入前55%だった治療の成功が、導入後は85%に上昇した。
 世界保健機関(WHO)は90年代にDOTSを推奨、日本では2000年から厚生労働省が「日本版DOTS」を進めている。
 日本版DOTSでは、患者1人1人を保健所の保健師が担当し、入院した病院でDOTSが始まる。入院中、看護師の前で服薬することが習慣化すると、退院後も他人からの服薬確認が続けやすいという。菌を出さなくなって退院した後は、患者の事情に応じたDOTSの方法を決める。
▽全国の10%が開始
 船橋市保健所(千葉県)に週1回通う70代の男性は服薬後、身の回りのことを30分ほど保健師と話す。近くの診療所にも週に2回行き、ほかの日は家族が服用を確かめる。「めまいなどの副作用で薬をのみたくなかったり、忘れることもあったが、この方法だと忘れずにのめる」と言う。
 同保健所は3人の保健師が、年に約150人の新規患者を担当、週に1回の家庭訪問や、保健所で確認をしている。治療中断が多かった住所不定の人でもDOTSで治療を完了できるようになったという。保健師の黒木美弥(くろき・みや)さんは「患者との信頼関係が重要。利便性などを考え、薬局など服薬できる場所を広げていきたい」と話す。
 昨年の調査では、全国の保健所の10%がDOTSを開始、16%が計画中で、61%は「患者によっては、服薬支援をしている」などの回答だった。

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