肌を良い状態にしてから
的確な診断が不可欠
乳児の食物アレルギー

 アレルギーには、花粉症やアトピー性皮膚炎などがあるが、食物アレルギーもこの15年ほどの間に急増している。「1歳未満の乳児に最も多く発症し、最近では、さまざまな食品にアレルギーが認められるようになってきた」と国立相模原病院臨床研究センターの海老沢元宏(えびさわ・もとひろ)アレルギー疾患研究部長。
 
 ▽アトピーとともに
 食物アレルギーには大別して、乳児がアトピー性皮膚炎とともに発症する小児型と、幼児期以降、湿疹(しっしん)と無関係に、魚介類などにより発症し、じんましんやせきなどの症状が現れる成人型がある。
 「乳児でアトピー性皮膚炎を伴う小児型の原因の多くは卵と牛乳。これは世界のどこでも同じで、3つ目は日本は小麦、米国はピーナツ。人種や食生活によって3つ目以下が変わる」(同部長)
 乳児のアレルギーは生後早い時期に出てくるが、これは母乳経由で入ってくる極めて微量の卵や牛乳が原因という。
 乳児の場合、アトピーが先か、食物アレルギーが先か。なぜアトピーと食物アレルギーが一緒になるのか、よく分かっていない。発見時は共存していることがほとんどだそうだ。
 「食物アレルギーは、的確な診断をして、取り除くことが大事。原因は卵だけとか、卵と牛乳とかいろいろある。しかし、3歳前後で劇的に変わり、食べても大丈夫なようになっていく」(同部長)
 地元の相模原市で1年間に生まれた乳児を追跡調査した結果、約10人に1人が食物アレルギーを持っていることが分かったという。

 ▽素人判断は禁物
 問題は、慢性の湿疹でかゆがっているときは、正しい診断ができないということだ。皮膚の状態をしっかりケアし、良い状態のときに診断する必要がある。
 「しかし、その状態に持っていくのが非常に難しい。湿疹がひどいときには、入浴したり、食事を取ったりするだけで体が温まり、皮膚がかゆくなって判断できなくなる。感染症を伴っていることもある」と同部長。
 また、素人判断で食物アレルギーと思い込み、食物制限をしていくと、食べるものが何もなくなってしまうことにもなりかねない。
 食物アレルギーは、必ず体の免疫機構がかかわって症状が出る。食物を取った後、症状が出たからといって、すぐアレルギーと判断するのは危ない。
 海老沢部長は「これまで多くの食物アレルギーを診てきたが、原因物質は1つか2つにすぎない。しっかり診断して、見極め、原因物質を除去すると、アトピーの湿疹が全くなくなることも珍しくない」と指摘する。

 ▽まだ両極端が存在
 しかも、年齢とともに食物アレルギーは改善していくことが多く、小学校入学までに8-9割は消えるのが普通だ。
 小児科外来の診療では「アトピーが3-4歳から全然よくならない。卵が関係しているような気がするが、医者に“関係ないから気にするな”と言われる」との訴えで調べてみると、やはり卵が原因と分かり、卵の除去で湿疹が消えた例もあるという。
 海老沢部長は「食物除去だけで治そうという人と、食物アレルギーを認めず、ステロイドだけで治そうという人の両極端が、医師を含めていまだにいる。どちらも不幸。食物アレルギーをよく理解し、いかに正しく診断するかに尽きる」と話している。

 

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