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予防で普通の生活可能に 大規模治験で裏付け |
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毎年、全国で3千人以上も死んでいるぜんそくの治療に「トータルコントロール」という新しい概念が登場した。現在、ぜんそくの治療には、主に吸入ステロイド薬と長時間作動型気管支拡張薬の2つが使われるが、この2薬を一緒にした合剤が誕生。ぜんそくの予防が大きく進むことになり、実際に普通の人と全く同じ生活ができることが大規模治験で分かってきたからだ。 ▽予防的治療 ![]() 「ぜんそく治療の根幹が予防的治療に変わってきた。発作時だけの対応で十分なコントロールは不可能」と昭和大医学部第一内科の足立満教授。 「予防的治療により、症状が何もない状況をつくり出すのがトータルコントロール。最も安全で、大多数の患者で実現可能」と指摘する。 ぜんそくは「気道の炎症」だ。何らかの原因で気管支にアレルギー反応が生じると炎症が起き、気道の過敏性を生む。すると、冷たい空気などの刺激でぜんそくを起こすようになり、さらに風邪などのウイルス感染や過労が加わると急性の発作が起こる。 2000年に行われた電話によるぜんそくの全国実態調査では、ぜんそく患者の過去1カ月のぜんそく症状発生率は成人、小児とも日中が約50%、夜間で約40%。過去1年間で職場や学校を休んだことがある人は、成人患者で約30%、小児で約53%などとなっている。 ▽日本はまだ不十分 足立教授は「調査から日本のぜんそくの現状を見ると、比較的よくコントロールされている欧州に比べ、欠勤が約1・8倍、小児の欠席で約1・2倍と高い。かなりよくなってきてはいるが、まだ十分な治療ができていない」と話す。 ぜんそくは発作がないときは何事もなかったようにけろっとしていられるので、薬の使用などのケアを怠りがちだが、軽症でも風邪などで治療が後手に回ると、死に至ることもある怖い病気だ。 「若年層のぜんそく死亡率が最も低い国の一つ、スウェーデンが10万人当たり0・04人なのに対し、日本は0・3人。これを吸入ステロイド薬の使用率で見ると42%に対し5%。日本は使っていない分、死亡率が高いと言える」(同教授) 炎症を抑えるには吸入ステロイド薬が効くが、即効性や気管支を広げる作用はない。このため、ぜんそくには気管支拡張薬を併用して気道を広げる必要がある。 ▽コントロール可能 ![]() この2薬を一つにした合剤(製品名、セレタイド)ができ、海外で使われ始めているが、実際にぜんそく患者へ投与して効果を調べる世界的な大規模治験が行われ、かなり良い結果が出ている。 「半分近くの人でトータルコントロールが達成できている。現在、ぜんそく対策が最も進んでいるスウェーデンでも、良好なコントロールができている患者は5%しかいないことからすると驚くべきこと」と足立教授。 この治験の「トータルコントロール」とは①日中の症状がない②ぜんそくで夜中、目が覚めることがない③緊急受診がない-など7項目すべてが7週間以上続く状態で、要するに普通の生活ができていることを指す。 この合剤は、日本でも治験が終了。来年末ごろには承認されそうだ。 足立教授は「現在でも2つの薬をうまく使えば十分コントロールできる。世界的にはぜんそく治療のスタンダードがほぼ確立しており、ほとんどのぜんそくの人が全く健康人と変わらない生活を送れることを一般の人にも知っていただきたい。ぜんそくはコントロールが可能な病気であり、恐れたり、隠したりする病気ではなくなっている」と話している。 |