減らせる「心臓突然死」 除細動器の普及を  


 ある日突然、心臓が動きを止めてしまう「心臓突然死」。日本では年間5万人が襲われ、助かる人はわずかに5%程度とされる。しかし、倒れた直後に心臓に電気ショックを与える「除細動」を施せば、かなりの人は救えるという。  心臓に酸素を送る冠動脈が詰まり、心筋が死ぬために起きる「心臓発作」と違い、拍動のリズムを つかさどる電気信号が乱れた不整脈が原因。働き盛りの中年男性に多く、心臓の中でも血液を送り 出す「心室」の不整脈が問題になる。

▽電気ショックをかける

 テレビドラマ「ER」などの救命現場でよく見かける電気ショックをかけるシーン。あれが除細動だ。脈が触れなくなっても心臓にはしばらく、弱い電気信号が流れている。その間なら、強い電流をかけると本来の拍動が戻る可能性がある。
 除細動が必要な不整脈かどうかを自動解析するプログラムが開発され、米国では医師でなくても使え、携帯可能な自動体外除細動器(AED)が爆発的に普及。救命率を向上させた。
 倒れた人の胸の2カ所に端末を置くだけで、自動的に心電図を調べ、必要なら電気ショックをかけてくれる。しかし、日本の普及台数はまだ4000台程度。致死的な不整脈が起きると、蘇生(そせい)率は毎分10%程度落ちる。倒れたそばにAEDがあり、それを使ってくれる人がいるという幸運はなかなか望めない。
 そこで、さらに進んだ予防策となるのが埋め込み型除細動器。心拍を常時監視し、不整脈が起きると電気ショックを与えてくれる。

▽予防できる時代に

  今ではマッチ箱より少し大きい程度で、局所麻酔で鎖骨の下に埋める。全国に約200のICD埋め込み認定施設 の一つ、桜橋渡辺病院(大阪)の伊藤浩(いとう・ひろし)内科部長は「手術は1時間程度。1週間で退院できるし、保険も利きます」と話す。
 ただこれも日本の普及率は低い。人口100万人当たり米国は300人、ドイツは87人が使用しているが、日本は19人。欧米では不整脈治療の第一選択で、危険のある人には予防的に埋めているが、日本では不整脈のコントロールが難しくなって初めて使用を考えることが多いのが現状だ。
 心疾患治療の進歩で、死のふちから生還し、心臓に傷を持って社会復帰する人が増えた。当然、不整脈の危険は高い。伊藤医師は「心臓突然死は予防できる時代になった。心疾患がある人だけでなく、失神を繰り返す人や肉親が心臓突然死した人はICD使用を考えて」と訴えている。


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