乳がん検診の精度向上
装置やソフト組み合わせ
国内にも専門施設
 日本人女性のがんでは最も多く、全身に転移しやすい乳がん。国内でも検診による早期発見の重要性が理解されるようになってきた。診断の精度を上げていくのは容易ではないが、最新の装置やソフトを組み合わせ、検診のシステム化に取り組む専門施設が出てきた。
 
▽違う「早期発見」
 日本人の乳がんは40~50代という、職場や家庭を担う世代に多い。早期発見率を高めることは社会的にも重要だ。
 だが「日本の患者の大半は、がんによる乳房のしこりを医師の視触診で発見されているのに対し、欧米では、しこりの前の段階まで見つけるのが標準だ」と話すのは、宮崎県内や東京都内で乳がん診療施設を運営する医療法人「ブレストピア」の難波清理事長。
 重要な役割を果たしているのが、乳房専用のエックス線撮影装置「マンモグラフィ」。視触診では分からない乳房の中の変化をとらえる。米国ではこの装置による40歳以上の検診受診率は70%前後に達している。
 国内でも、2001年の厚生労働省研究班の報告書で、マンモグラフィと視触診の併用が、乳がん死亡率の減少につながる「医学的根拠がある」とされたが、受診率はまだ1%以下だという。
▽見落としを減らす
 乳房を上下左右から板ではさみ、平らな状態にしてエックス線を当てるマンモグラフィは、がん組織の塊である腫瘤(しゅりゅう)のほかに、腫瘤になる前の段階の微細な「石灰化」という現象を見つけられる。石灰化の時点でがんを発見できれば、ほぼ完治できる。
 だが、石灰化はがん以外の病気でも起きることがあり、良性か悪性かを正確に鑑別することがポイントとなる。米国のデータでは、専門医でも15―25%の見落としがあるという。
 そこで、ブレストピアが導入したのが、コンピューターによる診断支援装置。過去の膨大な腫瘤や石灰化のデータを基に、検診を受けた人の画像を瞬時に分析し、悪性が疑われる部分の位置を知らせてくれる。難波さんは「支援装置を専門医の画像診断と併用することで、早期乳がんの発見率が約20%増える計算になる」と、意義を強調する。
▽超音波も活用
 ブレストピアではさらに、超音波装置も併用する。米国人に比べ日本人の乳房は脂肪が少なく、乳腺が発達している人が多い。こうした人の場合、マンモグラフィの画像は背景が白く映り、小さなしこりは見つけにくいことなどが理由だ。超音波は、しこりの内部まで調べるのに適しており、こうしたケースを補えるという。
 米コロンビア大による約11000人を対象にした研究では、マンモグラフィに超音波を追加した場合、視触診では分からない乳がんの発見率が37%上がった。
 難波さんもブレストピアで診断、治療を受けた人のデータを調査。しこりはなかった早期の乳がん患者106人中、マンモグラフィでは分からなかったものの、超音波だけでがんを発見できた人が28人もいた。
 「良性ならそれ以上の無駄な検査はしないし、悪性を疑えば小さな傷で済む精密検査でさらに正確に診断する。患者さんを混乱させずに的確な診断を提供できるよう、今後も質の向上を図りたい」。難波さんはこう話している。


 

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