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重度肥満を手術で治療 生活習慣病も改善 |
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重度の肥満患者で、胃の上部の一部を遮断するなどして小さな胃袋をつくり、確実な減量につなげる手術療法が千葉大先端応用外科で実施されている。食事療法や投薬ではうまくいかず、生活習慣病を合併するなどした約60人に行い、ほとんどの症例で持続的な減量に成功したという。肥満の最終的な治療法として、注目されている。 ▽胃を60分の1に3 ![]() 対象は、標準体重の倍を上回るか、標準体重より45キロ以上オーバーしている場合で、3年以上治療の効果がなく、肥満の合併症で生活習慣病にかかっている思春期から壮年期の患者。 やせても、しばらくすると元に戻ったり、減量前より太ったりするリバウンドを来した人も対象になる。美容目的では行っていない。 手術では、特殊な器具で胃上部の一方を切断、縫合するなどして、小さな胃袋をつくる。その下には食べ物が移動するための直径約1・5センチの通過路を確保。胃は普通1200-1800ccの容量を持つが、できた胃袋は20-30ccしかない。 食べ物は、食道からいったん小さな胃に入った後、通過路を経由し、残った元の胃に移る。 肥満の外科手術は、米国で1950年代に開発され、形成の仕方や、つくる胃の形の違いによって複数の術式がある。 ▽満腹中枢に信号 胃が小さいと、なぜ減量できるのか、詳しいメカニズムはよく分かっていない。 同科の宮沢幸正助手は「小さな胃に食べ物がすぐにたまるので、たくさん食べられないのが一番の理由だろう。胃が食べ物で高圧になると脳の満腹中枢に到達する信号が、早く出るため、との報告もある」と説明する。 宮沢助手によると、米国では年間1万例以上実施されている。千葉大では、主に「垂直遮断胃形成術」と「垂直離断胃形成術」に、82年から取り組んできた。 これまで手術を受けたのは男性15人、女性51人の計66人。仕事のストレスによる食べ過ぎ、運動不足、妊娠をきっかけにした過食など、さまざまな理由で肥満になっていた。 追跡できた46人のデータでは、術前の平均体重は約120キロだったが、手術から半年で約84キロ。1年後には約3分の2の約79キロまで減少。 その後も、2年で平均約74キロ、3年で約75キロ、4年で約79キロ、5年で約80キロと、効果が維持できた。 4人が減量に失敗したが、多くの症例で、術前の20-30%台の減量に成功した。 ▽術後の合併症も ![]() 減ったのは、大半が体脂肪。筋肉はほとんどそのままで、体のバランスを崩さずに減量できていた。 生活習慣病も改善した。1年後に、脂肪肝の割合は約82%から約3%に、高脂血症は約72%から約5%、高血圧症は約46%から約5%に、それぞれ減少した。 ただ、術後に合併症も見られた。13人で腹部の脂肪が溶けた状態になって手術の傷が開き、11人に鉄欠乏性の貧血が起きた。急速な減量による栄養障害の影響とみられる脱毛もあった。 いずれも鉄剤、ビタミン剤などの投与で良くなったという。 ほかに、胃下部の通過路が狭くなって再手術した患者、血の塊が肺の動脈に詰まって胸痛などを起こす肺塞栓(そくせん)になった人もいた。 術後には、たくさん食べると吐いたり、胃が詰まりやすくなったりするため、注意もいる。 宮沢助手は「手術に伴う危険があるし、好きなだけ食べられるようになるわけでもないが、肥満で命が危ない人を救える有効な治療法」と話している。 |