男女で異なる心臓疾患 女性ホルモンの影響  

 同じ心臓病でも、男性と女性では発症しやすい年齢や症状の出方が違う―。このほど横浜市で開かれた日本循環器学会で「女性における心疾患」をテーマに市民公開講座が開かれ、女性の心臓病の特徴や予防法について専門医らが説明した。  熊本大の河野宏明(かわの・ひろあき)講師(循環器病態学)は厚生労働省による死因別死亡率の調査結果を紹介。「65歳の人が将来亡くなる原因は、男性はがんが1位だが女性は心臓病が1位。女性では狭心症や心筋梗塞(こうそく)などの虚血性心疾患が非常に重要な疾患になる」と指摘した。
▽女性は閉経後に発症

 河野講師によると、女性の虚血性心疾患は女性ホルモンのエストロゲンに大きな影響を受けており、エストロゲンが減少する閉経後に発症することが多い。急性心筋梗塞を起こした女性235人を調べたところ、9割以上が閉経後だった。  河野講師は閉経前の女性で「狭心症の発作が起きると月経が始まる」という例も紹介。「閉経前でもエストロゲン濃度が低い時期は狭心症が起きやすい」と付け加えた。  「女性の虚血性心疾患は男性よりも約10歳遅れて発症するが、胸痛などの典型的な症状を伴わないことが多い」。こう説明したのは日本医大第1内科の清野精彦(せいの・よしひこ)助教授。
 清野助教授によると、胸痛などで救急外来を受診した約500例の調査で、男性は平均年齢62歳だったが女性は約70歳。心筋梗塞と診断された患者でも女性の方が高齢だった。  症状も多くの男性は「胸が痛い」と訴えるが、女性は「背中が痛い」「消化不良」「あごが痛い」「吐き気がする」などと多様な症状を訴えた。  清野助教授は「女性は血管造影をしても血管の狭いところが見つかりにくいことがある」と指摘。血管造影で見えない細い血管で障害を起こす微小血管狭心症が注目されているという。
▽重要な生活習慣の改善
 東京大の大内尉義(おおうち・やすよし)教授(加齢医学)は「若い女性はコレステロールが男性の半分程度だが、50歳を過ぎたころから急激に増えて男性を超えてしまう」と、生活習慣改善の重要性を強調した。  「生活習慣病は最初はほとんど無症状だが、ある日突然、狭心症や心筋梗塞になるため非常に怖い」。魚の多い食事や適度な運動による効果を挙げ「生活習慣を変えることは苦痛を伴うが、少しでもやればかなり効果がある」と予防の重要性を訴えている。


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