小さくなる日本の赤ちゃん
成長後の健康に不安

 日本の新生児が小さくなっている。「小さく産んで、大きく育てる」と昔から言われるが、小児科医は「母胎で十分に発育していないと、成長後にさまざまな疾病につながる恐れがある」と警鐘を鳴らしている。
 厚生労働省の人口動態統計によると、新生児の平均出生体重は1980年の3230グラム2003年には3060グラムまで落ち込んだ。体重2500グラム未満の低出生体重児の割合は5.18%から9.11%に上昇している。
 

  ▽ 母体内で栄養不足

 「女性の体格は向上したのに赤ちゃんは小さくなっている。これは心配な事態」と、新生児ケアが専門の板橋家頭夫(いたばし・かずお)・昭和大教授は話す。
 出生時の体重や身長が、その在胎週数に応じた標準分布の下位10%以内に入る子を子宮内発育遅延(SGA)児と呼ぶ。母胎内で栄養不足に陥ったため起きる。
 原因には多胎や風疹(ふうしん)などの感染、先天性異常などの胎児側の要因のほか、胎盤の異常、さらに母親の低栄養や妊娠中毒症、合併症、過度の飲酒や喫煙などの母体側の要因が挙げられる。約90%は3歳くらいまでに急速に成長するが、残りは成長ホルモン投与をしないと低身長のままになる。
 だが無事に大きくなっても安心は禁物。「SGA児は成長後、メタボリック症候群を発症しやすい」(板橋教授)ためだ。筋肉や骨が少なく、相対的に脂肪が付きやすい。しかも食欲を抑えるレプチンがうまく働かないため過食になりやすく、糖尿病や高脂血症、高血圧、さらに動脈硬化の危険が増す。板橋教授も8歳で脂肪肝になったSGA児を経験したという。

▽ ダイエットや高齢出産の影響?

 SGAまで至らない低出生体重児でも危険はある。小さく生まれ、11歳までに急速に成長した人は、成人後に糖尿病や冠動脈疾患の危険が増すことが米国の疫学調査で分かっている。一卵性双生児のうち小さく生まれた子は、大きかった子よりインスリンの働きが悪いとの調査結果もある。
 当然、遺伝で小さな子もいるし、大きくなることに親は危機感を持ちにくい。このため、成長曲線を付けて異常を早く察知し、食事療法などで対応することが必要。
 さらに板橋教授は「低体重化の原因ははっきりしないが、女性のダイエット志向や高齢出産の増加などの影響が考えられる。対策には、個別に適切な妊婦の栄養指導をするとともに、母乳をなるべく長く続けることが大切だ」と話している。



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