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薬剤性過敏性症候群 重症になることも |
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薬の副作用で出た発疹(ほっしん)が、薬をやめても治らないまま、体内で活性化したウイルスの活動によって、かえって悪化してしまう―。こんな薬疹があることが分かり、「薬剤性過敏症症候群(DIHS)」と名付けられている。脳炎、肝障害など全身に症状が出ることもあり、専門家は重症薬疹として注意するよう警告している。 ▽ヘルペスウイルス ![]() 1998年にDIHSを最初に報告した2人のうちの1人、愛媛大の橋本公二教授(皮膚科)は、「薬疹が出た後にウイルスが活性化するとは、夢にも思っていなかった。全く新しい病気の概念だった」と話す。 活性化するのは、ヒトヘルペスウイルス6型(HHV6)。乳児の突発性発疹の原因となることが分かっており、日本人は子供の時期にほぼ全員が感染、その後は体内に潜伏している。そのほかに2割の患者では、サイトメガロウイルスも関与しているらしい。 2001年8月、横浜市立大市民総合医療センターに転送されてきた14歳の男児の例―。 てんかんの症状があり、病院で抗てんかん薬を投与されて18日目に発熱し、皮膚が真っ赤になった。細菌感染ではないかとの判断で、いったんは抗生物質を投与したが改善せず、肝機能も悪化。この病院の皮膚科医がDIHSではないかと疑って入院させ、29日目に同センターに運ばれてきた。 ▽抗体上昇で確認 「呼吸も不安定で、重い症状だった」と同センターの相原雄幸小児科部長。血液検査でHHV6が検出され、炎症を示す生理活性物質(サイトカイン)も増えていたため、相原部長は、DIHSと診断、炎症を抑えるステロイドを大量投与した結果、症状が改善した。 相原部長は「この患者は1年後に再び薬疹が起きており、薬へのアレルギー素因が強いと思う」と話す。 この患者のように、DIHSは、薬をのんだ後、しばらくしてから皮膚が赤くなり、38度以上の発熱、肝機能障害が起きる。発症から2-3週間目に血液検査でHHV6の抗体の上昇が確認される。 橋本教授によると、最初の2-3週間は薬剤アレルギーの期間で、この間に何かのきっかけでHHV6の活性化が始まるらしい。患者の症状は、最初の薬疹に続き、HHV6の影響で2度のピークを迎えるのが特徴だ。 ▽ガイドライン ![]() 「これまでもDIHSはあっただろうが、見過ごされてきた。薬をやめてから数週間たってから出るので、まさか薬疹とは思われていなかったのだろう」と橋本教授。2002年には診断基準の試案が作られた。 HHV6抗体上昇は14日目から25日目までに限られ、それ以上遅くても起きない。またどのくらいの患者数なのか、なぜ起きるのかなど、詳しいことはまだ分かっていない。 原因となる薬は、抗けいれん薬や不整脈、痛風の治療薬などに限られているが、さまざまな診療科にまたがっている。橋本教授は「重症では、全身の病気となる。皮膚科以外の医師も、注意が必要だ」としている。 治療は、皮膚科の専門医がいる病院への入院が必要。中程度の量のステロイドを投与する。さらにグロブリン製剤が有効だが、保険が利かず、非常に高価なのが難点だ。 脳炎、心筋症、糖尿病などの合併症が起きると予後が悪く、死亡することもある。 橋本教授が班長を務める厚生労働省研究班は、診断基準、治療のガイドラインの作成に向け検討を始めている。 |