成長曲線で早期発見
虐待など子供の異常

 摂食障害、親の虐待や養育放棄(ネグレクト)、肥満など、子供の異常を早期発見するため、身長と体重をグラフに記録する成長曲線をつけるよう、日本小児科学会が奨励を始めた。乳幼児期の母子手帳のやり方を中高生まで応用する方法で、初期段階で傾向が見つけやすく、養護教諭が利用するよう勧めている。
▽1年に2回、身長と体重を記録
 全国の子供の状況を調べた沖潤一・旭川厚生病院副院長(小児科)は、「学校の保健室を訪れる子どもの12-15%には、心の健康問題がある」と指摘する。
 虫垂炎などの病気があって「おなかが痛い」と訴える場合と異なり、心身症などの子どもは、だるい、疲れやすい、頭や腹が痛い、吐き気がするなど、たくさんの症状を訴えることが多い。
 「それが摂食障害や虐待、ネグレクトによる場合でも、本人や親は“問題ない”“病気ではない”と思っているので、病院に行かない場合が多い」と沖副院長。
 特に学校の養護教諭は、子供の異変に気付いても、本人や親に病院への受診を納得してもらうのが難しいという。
 そこで日本小児科学会でこの問題を担当する沖医師らは、成長曲線の利用にあらためて注目した。1年にできれば2回、身長と体重を記録する。
 摂食障害では、成長期なのに体重増加の上昇カーブが下方に向かうのが特徴。ある少女の場合、13-14歳ごろから、体重の増加曲線が標準的な傾向から外れ始め、16歳で大きく減少、入院した。「長期化すると、治療が難しい。極端にやせてからでは、命にかかわる場合もある。この場合は14歳の時点で、受診してほしい」(沖副院長)。

▽ストレスでホルモン分泌不調
 虐待、養育放棄では、環境の悪化、改善に応じて、身長、体重とも、曲線が横ばいになったり急上昇するなど階段状の動きをする。食べられないだけでなく、ストレスが原因でホルモン分泌が不調になっていることが多い。
 また生活習慣病の要因になる成人の肥満につながる危険性を減らすため、体重増加がかなり上向きの曲線になった場合は、子どもの肥満を要注意と判断する。
 こうした成長曲線を記録すれば、養護教諭が本人や親にも説明しやすいのではないかという。
 沖副院長は「少しやせたり太ったりすることに一喜一憂する必要はない。その子供が持っている成長の傾向からずれていないかを、簡単で客観的な方法で把握することが重要だ」と話している。

 

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