『肝炎-1』

 肝がんの主要な原因に 
林紀夫・大阪大教授

 日本人になじみの深い「肝炎」。特に慢性肝炎は、肝硬変から肝がんに進むこともある怖い病気だ。しかも自覚症状が無く、肝機能も正常なままで進行することも多い。林紀夫(はやし・のりお)大阪大教授(消化器内科学)に現状や最新の治療法を聞いた。


 
 ―まず肝炎とはどういう病気なのでしょうか。

 「肝臓の細胞が壊れ、文字通り炎症を起こした状態です。さらに肝炎が慢性化すると壊れた肝細胞を線維成分が埋めるため、肝硬変になります。こうなると食道の静脈にこぶができて破裂する食道静脈瘤(りゅう)破裂や肝がんなどが起きます」

 ―肝炎の原因は。

 「アルコールの飲み過ぎや薬の服用で起きるものもありますが、何と言っても多いのはウイルス感染によるもの。肝炎ウイルスはA型からE型までの五種類見つかっていますが、日本人に多いのはこのうち、A、B、Cの三つです」

 ―どのようなウイルスなのでしょうか。

 「肝臓の細胞に感染することは共通していますが、全く異なる種類。だから性格は異なります。例えばA型は経口感染で、汚染された貝などの海産物を食べて感染します。これに対し、B型とC型は血液感染です」

 ―ほかに違いは。

 「A型は抗体を持っていない若い人を中心に発症は増えていますが、発症しても急性肝炎にとどまり、慢性化しません。B型の場合は、四歳以下で感染すると一部が慢性化、C型は常に慢性化の危険があります」

―B型とC型が怖い。

  「感染防止対策が進み、今ではともに新たな感染はゼロに近づいています。過去に感染した人が問題となるのです。日本人の肝がん患者を調べると、実に95%が肝炎ウイルスを持っています。肝炎ウイルス制圧が肝がん制圧につながるのです」




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