もっと放射線治療を
環境整備求め市民集会

  手術や抗がん剤と並び、がん治療の柱となる放射線。しかし日本では放射線治療医や技師らが少なく、国際標準となっている治療も受けられないことが多い。そ んな状況に、東京・本郷の東京大医学部鉄門記念講堂でこのほど「がんの放射線治療を応援する市民集会」が開かれ、放射線治療普及への環境整備を求めるア ピールを採択した。
 主催した医師や技術者らで作る化学放射線治療科学研究会は、この問題で署名を集め、国に働き掛けることにしている。

 

 ▽ 立ち遅れる日本

 日本のがん治療は、手術が第一選択となる胃がんを中心に発達してきたため、長く外科医が主役となってきた。
 放射線治療もコンピューター制御で病巣だけに当てるピンポイント照射や、エックス線よりも効果が大きい陽子線治療など、さまざまな手法が登場。がんによっては手術と同等の治療成績を収めるようになっている。
 しかし放射線治療医は米国の5000人に対し、日本は500人。さらに米国では、理工系の高等教育を修めた医学物理士約5000人が医療現場で放射線治療の品質管理に当たっているが、日本では実質10人程度と大幅に立ち遅れているという。
 集会では東大病院放射線科の中川恵一助教授が、前立腺がんや子宮頸(けい)がんなど、放射線治療が有効ながんが増えているのに、治療は依然として手術中心で、患者には放射線治療の存在すら告げられていない問題を指摘。
 「放射線治療は患者の負担が少なく、臓器や機能の温存を図れる。これまであまり顧みられなかった緩和医療やQOL(生活の質)改善にも使える」と利点を強調した。

 ▽治り方が重要

 さらに患者が自らの経験を元に発言。乳がんを患う杉山百合子さんは「がんは切って治すものとの先入観は患者にも根強い」と、放射線治療周知の重要性を指摘。
 舌がんで放射線治療を受けた会田昭一郎さんは「今やがんは治る時代になったが、患者にとっては『治り方』が重要」とQOL維持の大切さを強調。セカンドオピニオンは、あらゆるがんを扱う放射線治療医に求めるのが効果的だと訴えた。
 アピールは放射線治療医や技師の増員、品質管理専門家の育成、患者への治療情報の開示などを求めている。
 署名の詳細や署名用紙は、市民のためのがん治療の会のホームページで入手できる。問い合わせはファクスで同会042(572)2564まで。


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