『がんとこころのケア-4』

 家族のケアも大切に 
内富庸介・国立がんセンター部長

 


 
 ―がんは家族にも大きな影響を与えます。

 「そうです。ご家族も患者さんと一緒に直下型地震に見舞われる。動揺する患者さんを、ご家族も揺れながら一生懸命支えるのが実際です」

 ―不幸にして治療がうまくいかなかった場合、家族の心のケアも重要になりますね。

 「患者さんが亡くなった場合は、今度は遺族のケアが始まり、場合によっては何年も必要になります。うつ病の最大の発症原因は、実は『配偶者の死』なのです。家族の心のケアをする人がいると、残された人が現実を受け入れ、落ち着いた生活を取り戻すのが早くなります」 

 ―悩みを話せる友人や兄弟とか。

 「悲嘆の周辺を埋めるには普通の支援者で十分です。でも喪失感そのものは、故人その人でないと埋まりません。故人のことを何度も振り返ることで徐々に癒やされていく。その意味では、故人のことを知っていたり、故人への思いを共有する人が最適です」

 ―そういう支える人がいないことも多いのが現実ですが。

 「最近はそういう活動をしている市民団体も増えています。でもご家族の方は患者さんが亡くなった病院には、なかなか来たがりません。そのため、うちの病院では駅前などの人が集まりやすい場所に、患者と家族の支援センターをつくる構想を進めています」

―具体的には。

  「がんと診断されてから治療が終わるまでの患者さんと家族、そして患者さんが亡くなった後の遺族のケアまで一貫して担当します。看護師やソーシャルワー カー、緩和医、精神科医、臨床心理士、そして民間非営利団体(NPO)まで加えた総合的なケアチームの拠点です。何としても実現したいと思っています」(完)




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