怖い正常眼圧緑内障
気付かぬまま静かに進行

 
 視野の一部が欠け、その範囲が徐々に拡大する緑内障。日本では糖尿病網膜症に次ぎ失明原因の2位を占めるが、日本人には正常な眼圧でも発症する正常眼圧緑内障(NTG)が多いことが最近の調査で判明した。この病気は自覚症状が表れにくく、専門医は「40歳を迎えたらまずは検査を」と呼び掛けている。

  ▽243万人いる計算
 水晶体が濁るため起きる白内障に対し、緑内障は視神経が傷むことが原因。名前は似ていても、発症のメカニズムはまったく異なる。
 視神経の損傷は、目に栄養や酸素を運ぶ房水の生産と排出のバランスが崩れ、眼球内の房水が増えて眼圧が上昇するためとされる。しかし、生まれつき視神経が弱い人は、眼圧が正常でもダメージを受けてしまう。
 日本緑内障学会が2000年から01年にかけ、岐阜県多治見市で40歳以上を対象に行った大規模調査では、緑内障と診断された人は約5・8%。しかもその6割はNTGだった。
 「日本の40歳以上では緑内障が398万人、NTGは243万人いる計算になる」と同学会の北澤克明理事長。しかも約90%は医師の診察を受けておらず、埋もれた患者だった。
 緑内障は痛みや視力低下を伴わず、片方の目で視野欠損が始まっても、普段は両目で見ているため気付きにくい。その間、症状は5―10年かけてゆっくり進行し、損傷した視神経は回復しない。
   
 ▽眼圧を下げて進行抑制
  ただ、眼圧を30%以上下げれば進行が抑えられることが分かっており、点眼薬の使用で対応できる。そのためにも、早期発見が重要になる。
 眼圧検査ではチェックできず、眼底検査が決め手になる。「専門医なら進行したNTGは見落とさない」と北澤理事長。
 製薬会社ファイザーが今年2月、40歳以上の8000人に実施したインターネット調査でも、97・6%が緑内障を知っていたが、NTGを知っていた人はわずかに6・6%。また、緑内障やNTGを知っている人でも、自覚症状が表れにくいことを知っていたのは22・2%にすぎなかった。
 「今はいい治療法があるので、早期に見つかれば怖くない」と東京警察病院の安田典子眼科部長。老眼が始まるころに発症の危険も高まるため「老眼鏡を作る際に、眼科医に行き検査を受けては」と勧めている。



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