日本人でも心疾患が減少
高脂血症治療薬で

  スタチン系の高脂血症治療薬プラバスタチン(商品名メバロチン)を使った国内初の大規模臨床試験の結果がまとまり、コレステロールを減らすと日本人でも心筋梗塞(こうそく)や狭心症など心臓血管障害の予防効果があり、脳出血やがんなどは増えないことが確認された。
 かつては「スタチンをのむと逆に寿命が短くなる」「コレステロールを減らすと脳出血やがんが増える」「心臓血管障害が少ない日本人は減らす必要はない」などの意見が一部であったが、試験統括者の中村治雄(なかむら・はるお)防衛医大名誉教授は「論争はこれでほぼ終わったのではないか」としている。


  ▽ 10年かけ臨床試験

 血液中のコレステロールが多いと動脈硬化になりやすいことはよく知られている。しかし薬でコレステロール値を下げると本当に心臓血管障害の予防効果があるのかどうかを調べるには、大規模な臨床試験を行うことが必要。欧米では既に試験で効果が証明されているが、日本人については独自の証拠がなかった。
 このため国内では「日本人は欧米と異なり心筋梗塞が少なく、脳血管障害が多い。海外の成績をそのまま当てはめていいのか」との意見が根強かった。


 ▽ 発生率33%減少

 プラバスタチンの心臓血管障害予防効果を調べる国内初の大規模臨床試験は、1994年から2004年まで10年間かけて行われ、昨年末に結果がまとまった。
 総コレステロール値が血液100ミリリットル当たり220―270ミリグラムの、軽度から中等度の高脂血症患者7832人を2群に分け、一方は食事療法だけ、他方は食事療法にプラバスタチンを1日当たり10―20ミリグラム併用し、5年以上追跡調査した。
 その結果、併用群は食事療法単独群に比べ、心筋梗塞や狭心症などの発生率が33%低く、総死亡率も28%少なかった。一方、脳出血やがん、肝機能障害などの発生は両群で差がなかった。
 中村名誉教授は「日本は欧米に比べて薬の投与量が半分から3分の1程度と少なくても、心筋梗塞などの発生は同程度減ることが分かった」と指摘。「国民の安全と健康を守るには、(他の薬でも)このような大規模臨床試験がぜひとも必要。国内でもどんどん行われるようになってほしい」と話している。




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