説明・同意充実で苦情減少
書式を統一、電子化

 診療内容や病状を医師が十分に説明し、患者がそれを理解、納得して同意するインフォームドコンセント。半世紀前に米国の裁判で初めて使われた言葉というが、現在は医療の常識になっている。その「説明・同意文書」の書式を病院内で統一、電子化し、医療事故や患者の苦情を減らそうと産業医大病院(北九州市)が取り組んでいる。

 

▽自己流を統一
 同病院の副院長で医療安全管理部長を兼ねる田中良哉教授(内科)によると、新システム導入の背景には、医療関係の問題事象が年々減っている一方で、インフォームドコンセントに問題があるためのトラブルが年間数例と横ばいだったことがある。
 「以前のインフォームドコンセントは医師の自己流だった。説明に必要な項目をあらゆる診療で統一すれば、患者の選択を尊重する説明内容が充実するし、漏れもなくせる」(田中教授)として、病院は2005年11月、全診療科に説明・同意文書の見直しを依頼。06年4月から電子カルテと連動したインフォームドコンセントの新システム運用を始めた。


▽1部を患者に

 

 医師は、電子カルテの所定の欄から治療・検査別になっている文書を選んで印刷。文書には診療の目的と有効性・危険性、代わりの診療法など10項目が記載され、それを基に患者に説明して同意を得られれば、説明文書と同意文書のセット1部を患者に渡し、もう1部はファイルに保存する。
 カルテには患者・家族の反応や質問事項を記入することが義務づけられ、カルテを見れば、どの医師が、いつ、どの文書を使って、どのように説明したかが分かる。看護師が状況を判断するのに役立つのも特長だ。
 

苦情が、ほとんどなくなった
 
 インフォームドコンセントの対象は、手術や血管に細い管を入れるカテーテル検査など、患者の身体に負担をかける診療行為で、例外は急患など一部。書式は診療科が提出したものを、10項目が入っているか、患者に分かりやすい言葉で説明しているか、などについて病院の医療事故防止委員会がチェック。開始当時は297種類だったのが400近くに増えた。内容を随時見直すことで医療技術の進歩にも対応できる。 システム導入後は「日常茶飯事だった患者からの苦情が、ほとんどなくなった」(田中教授)。苦情の減少が医療事故減少に直結するわけではないが、田中教授は「医療の安全に対する医療従事者の意識が上がるので、結果として医療事故が減ることを期待したい」と話している。


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