市中にもMRSAまん延
増殖早く、強毒型も

  抗生物質が効かず、抵抗力の低い人を死に至らしめることもあるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)。院内感染の代表的な原因菌として有名だが、最近は一般社会にまん延する市中型MRSAも増え、専門医は注意を呼びかけている。
 黄色ブドウ球菌は、健康な人でも鼻の中や皮膚にいるありふれた細菌。普段はおとなしいが、加齢や病気などで免疫力が落ちると暴れ出す。中には強い毒素を持つタイプもあり、肺炎や敗血症、骨髄炎などの重い感染症を引き起こす。

 ▽ 病院生まれの細菌

 さらに変身が早く、耐性を獲得しやすい特徴を持つ。薬剤耐性の遺伝子を自由にやりとりするためで、1960年に合成ペニシリンのメチシリンが登場した翌年には早くも〝初代〟MRSAが登場。抗生物質を大量に使う病院では、耐性菌だけが生き残ってわが世の春を謳歌(おうか)する。いわば病院生まれの細菌だ。
 順天堂大の平松啓一(ひらまつ・けいいち)教授(細菌学)によると、日本の病院で現在まん延しているのは、80年代後半に登場したカルバペネム系抗菌剤にも抵抗力を獲得した高度耐性MRSA株。
 しかし90年代になり、入院経験のない健康な人の感染報告が欧米で出始め、MRSAの院外進出が表面化した。

 ▽ 夏に多い感染

 日本でも平松教授らが2001年から宮城、京都、佐賀の3府県の幼稚園などの園児818人に行った調査では、4・3%に当たる35人から計44種類のMRSAが見つかり、そのほとんどは市中型だった。
 市中型は院内型に比べ耐性が弱い一方で、増殖が速い特徴がある。ほとんどは皮膚に炎症を起こす程度だが、白血球を壊す毒素PVLを持つタイプもまれに存在する。
 この場合、風邪のような症状が急に肺炎に進んだり、皮膚症状も深部膿瘍(のうよう)になったりし、「放置すると死亡率は20―30%に達する。強い抗生物質を点滴する必要がある」(平松教授)という。
 感染経路は接触。ラグビーなどのスポーツや、集団生活では感染の危険が高い。汗をかいた皮膚にはMRSAが多くなるので、夏は感染が多くなる。タオルの共用も要注意だ。予防には手洗いやうがいが有効。
 平松教授は「抗生物質をだらだら使ったり、予防的に使うのは耐性菌を増やすことにもなるので慎んで。逆に医師に処方された分は最後までのみ切って」と訴えている。




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