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アスベスト(石綿)吸引などで起こるとされる悪性胸膜中皮腫の治療薬「アリムタ」(一般名ペメトレキセド)の製造販売を、厚生労働省が認めた。抗がん剤のシスプラチンと併用して投与する処方薬で、海外の臨床試験では生存期間の延長が示されたという。患者支援団体は承認を歓迎する一方で「副作用に注意し、慎重な使用を」と呼び掛けている。
▽各国で使用
悪性胸膜中皮腫は、がんの一種で、胸の痛みや呼吸困難が生じる。アスベストを吸い込んで中皮腫が発生するまで平均で約40年、最短でも20年前後と長いのが特徴。症状が出たときには進行し、治療が難しいことも多い。
国内では1970年代半ばに、建築資材などに使うアスベストの輸入がピークになっており、潜伏期間から、患者が今後増えるとみられている。
有用性が確かめられた治療薬がない中で登場したのがアリムタだ。米国で2004年に初めて承認され、欧州連合(EU)、中国など80を超す国・地域で承認されている。承認を得た日本イーライリリー(神戸市)は「悪性胸膜中皮腫で唯一承認された治療法」としている。
薬効に関して同社研究開発本部の南部静洋医学部長は「DNAなどを合成する酵素の働きを阻害することで、がん細胞の増殖を阻んだり細胞死を誘発したりすると考えられる」と説明する。
▽3カ月
シスプラチンと併用し、成人では、体表面積1平方メートル当たり500ミリグラムを1日1回点滴し、次に投与する場合は少なくとも20日間あける。
海外20カ国の患者約450人が参加した比較臨床試験では、生存期間の中央値はシスプラチン単独投与が9・3カ月だったのに対し、アリムタ併用療法では12・1カ月と約3カ月延びた。
国内で患者25人を対象に実施された併用療法での臨床試験では、解析対象となった19人のうち7人で、腫瘍(しゅよう)の大きさが50%以上減少したり、胸膜病変の厚みが30%以上減少したりするなどの縮小効果が見られた。
一方で25人のうち、治療との因果関係を否定できない死亡が一例あったほか、悪心(96%)、食欲不振(88%)、赤血球減少(84%)、嘔吐(おうと)(72%)、倦怠(けんたい)感(56%)などの副作用が出た。
▽条件付きで
安全性確保のため厚労省は、データ収集を目的にした市販後の全症例使用成績調査の実施を承認の条件とした。
また、日本イーライリリーは納入先を①抗がん剤療法に精通した医師が治療に当たっている②抗がん剤療法に精通した薬剤師、看護師が勤務している③緊急事態に対応できる④使用成績調査に協力できる―のすべてを満たす医療機関に限った。
患者を支援する民間非営利団体「中皮腫・じん肺・アスベストセンター」(東京)所長の名取雄司医師は「アリムタのような薬が保険で使えるのは悲願だった」と評価するが「肺などで起こる恐れがある副作用を防ぎながら用いることが大切」とくぎを刺す。
名取医師は「患者には、あくまでも余命が3カ月ほど延びる薬と説明している。1年目で数百人に使われるとみられ、副作用がどれぐらい出るのかや、どれぐらい効くのかが、1、2年で分かってくるだろう」と話している。
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