リハビリ、介護予防に
加圧トレーニング利用を
第1回の学会で公開シンポ

  筋肉をバンドで圧迫し、軽い運動をするだけで、筋肉が短時間で増強していく「加圧トレーニング」。脳梗塞(こうそく)で倒れた人のリハビリや高齢者の介護予防に非常に有効なことが分かってきた。
 このほど東京で開催された初の加圧トレーニング学会では「高齢者の介護予防と加圧トレーニング」と題して公開シンポジウムが開かれ、これまでの成果が報告された。
 
 ▽日本で独自開発
 「加圧トレーニングは『筋肉を太く大きくしたい』という素朴な欲求から生まれた。科学のメスが入ったのはごく最近で10年前」と発明者で同学会会長の佐藤義昭さん。
 「このトレーニングにより筋肉内でさまざまな成長因子が活性化され、著しい筋肥大・筋力増強効果がもたらされる。これからの介護予防に大きく貢献できると確信している」と基調報告した。
 加圧トレーニングは、最新の医療を目指す東京大病院の「22世紀医療センタープロジェクト」にも参加が決定。さらに宇宙空間における筋力低下の防止にも応用され、日本で開発された独自の方法として世界的にも注目が集まっている。
 「高齢者やリハビリに求められるのは、筋肉への負担や運動の量・時間が少なく、しかも効果が大きいトレーニングだが、普通はそういうものはあり得ない。ところが、これらの要件をすべて満たすものが加圧トレーニング」と石井直方東大教授(筋生理学)は指摘する。教授も最初は加圧トレーニングの効果を信じなかった1人だ。

 ▽100倍の成長ホルモン
 脳出血や脳梗塞などの後遺症で手足にまひがあったり、筋肉疾患のある人を中心に、加圧トレーニングを使ったリハビリ治療を行っている小田切病院(川崎市)の小田切研一院長は「高齢患者の加圧トレーニングで、筋量が増大し、生活動作も改善した。加圧リハビリは有効」と報告した。
 70-89歳の61人(55人は寝たきり)を対象に延べ2000回を超える加圧リハビリを実施。大腿(たい)の筋肉の断面積を測定すると、加圧リハビリ後2カ月で平均56%の肥大が見られた。
 寝たきりの人のうち、53%がおむつが不要になり、1年間寝たきりだった1人は歩いて退院、現在は通院中という。
 老衰の104歳女性の場合、かろうじてベッドから起き上がれる状態だった。1日1回、手足を計20分、週5回の加圧リハビリをして、普通の生活に戻った。「絶対出ないと思っていた成長ホルモンが若い人と同じように、通常の約100倍も出て驚いた」(同院長)
 現在、普通に歩き、加圧トレーニングを続けている。

 ▽歩くだけで増強

 「寝たきりで両ひざが90度に曲がったまま、自分で起きて座ることができなかった脳梗塞患者(72)の加圧トレーニングを実施。現在は家の中ではつえなしで歩けるようになった」と鈴木俊光トータル・コンディショニング代表(加圧トレーニング指導者)。
 老化予防の研究に協力し、昨夏から加圧トレーニングを始めた男性(76)が会場で話をした
 「毎日、両ももにバンドをしての歩行。2分歩いて1分休みを5回。15分だけで軽いが、半年で断面積が10%増えた。成長ホルモンは加圧15分後で静止時の70倍。歩くのが速くなった。歩幅が広くなった感じ。何よりも毎年ひいていた風邪をひかなくなった」
 石井教授は「最近の研究で、加圧トレーニングの効果が、加圧なしで軽いトレーニングをした他の筋肉に転移することが分かってきた。このことは直接、加圧トレーニングできない、体の内部の筋肉も強化できる可能性を示しており、期待は大きい」と話している。




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