社会の理解求め公開シンポ
プラダー・ウィリー症候群
肥満、行動異常が課題

 肥満が主な症状で、非常ベルを鳴らすなどの行動が見られることもある先天性疾患のプラダー・ウィリー症候群。患者の親らでつくる「竹の子の会」が、東京で初の公開シンポジウムを開いた。疾患の存在と、過食や行動の原因が病気にあることを理解してもらい、どんな支援が必要か共に考えようという狙いだ。

 

▽視床下部に異常
 この病気は1956年に報告され、病名は発見した医師2人の名前にちなんで付けられた。多くは15番染色体の突然変異が原因。発生頻度は1万―1万5千人に1人で、男女差や人種差はないとされる。
 独協医大越谷病院(埼玉県越谷市)の永井敏郎教授(小児科)によると、症状は年齢とともに変化する。
 生後間もなくは、筋肉の緊張が低下してぐったりしており、乳をうまく吸えない哺乳(ほにゅう)障害がみられる。色素低下のため色白なのも特徴だ。3、4歳から肥満、低身長、学習の遅れに加え、物事への強いこだわりやかんしゃくといった性格障害、行動異常が始まる。思春期には性格障害や行動異常が悪化し、性腺も機能不全に。成人後は肥満による糖尿病や心臓、呼吸器の病気を伴いやすい。
 「脳の視床下部の異常が原因と考えられる。個人差はあるが、患者の症状はとても似ている」と永井教授は言う。

▽分かっていても

 診断は、日本で開発された血液診断法で新生児期につくようになった。低身長や肥満、筋力低下は成長ホルモン、性腺機能不全は性ホルモンの投与で、かなり改善する。一生を通じた大きな課題となっているのが、食事制限と行動異常だ。
 食欲や満腹感を調整する機能に障害があるため、常に空腹で、食べずにはいられない。「冷蔵庫に鍵がかかっていると、患者はかえってほっとするようだ」(永井教授)。肥満治療に重要な運動も、筋力が低下した患者には苦痛でしかない。 また、固執やパニック、級友への度を越したちょっかい、といった性格や行動が、社会に受け入れられにくい一因になっている。
 だが、これらも症状の一つ。「本人はいけないことと分かっているが、自分でコントロールできない。だから、しかられると、困ってうそを言ったり、はいかいしたりする」と、大野耕策鳥取大教授(脳神経小児科)は解説する。
 問題行動への対処法として、大阪府立茨木養護学校の加藤美朗教諭は「混乱やパニックの原因は、こちらにあるのではないかと考える」ことを勧める。加藤教諭らは、親を対象に、パニックの原因を突き止め回避させる「ペアレントトレーニング」を実施、医療や福祉などの関係者とネットワークづくりも進めている。

▽支援、協力を
 
患者は感情が豊かで、さまざまな特殊能力を持っている。「全体像を見なくてもジグソーパズルをあっという間に完成させるなどの空間認識力」(永井教授)が一例だ。
 しかし、病気の実態があまり知られていないため、患者の長所や親の悩みは十分に理解されていないのが現状。高価な成長ホルモン療法が成人には保険が適用されないなど、患者側が求める支援も実現していない。
 このため、発足15周年で初めて今回の公開シンポを開催した「竹の子の会」は「社会が親の悩みを分かってくれれば心強い。安心して子育てできるよう、各分野の人たちと地域社会が支援や協力を」と訴えている。同会本部事務局は電話03(3791)1033。


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