| 『がんとこころのケア-1』 体と心は車の両輪 内富庸介・国立がんセンター部長 |
年間約55万人が発症し、約30万人が死亡する「がん」。高齢化で患者はさらに増えるとされる中、近年はがん患者の心のケアにも目が向きはじめた。国立がんセンター東病院臨床開発センターの内富庸介(うちとみ・ようすけ)精神腫瘍(しゅよう)学開発部長に聞いた。 「がんと心の関係を明らかにしようという学問です。1977年にニューヨークのがん専門病院に精神科が置かれたのが始まりで、日本では92年に築地の国立がんセンターに精神科が開設され、東病院には96年に設置されました」 ―どのような成果が挙がっているのでしょう。 「当初は『がんと前向きに取り組むと進行を抑える』とか『神経質だとがんになりやすい』とか、心ががんに与える影響が話題になりましたが、どうも直接関係があるとは言えなさそうです。確かに『孫の入園式に出たい』とか、心に張りがあれば頑張れますが、短期間のこと。やはりがんが心に与える影響、〝心の痛 み〟への対処が仕事の中心になります」
―がんでは体の痛みも大きな問題ですが。 「体と心は車の両輪です。心が傾けば体も悪くなるし、体が悪くなれば心も傾く。ともに問題がなければ食は進むし、よく眠れ、抗がん剤治療の中断が防げるなど治療効果も間接的に上がります。体の痛みをとり、次が心の痛みという順番になりますが、今は治療の初期から、体と心に優しい緩和医療と心のケアを組み込むことが目標です」 ―現状は。 「病棟に緩和ケアチームが整備され始めましたが、そこに精神科医を含むのは日本独自の取り組みです。全国30のがん専門病院のうち、心のケア外来を持つのは95年には数施設でしたが、今では20施設。積極的に活用してください」
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