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重度難聴児の人工内耳手術 早期発見、教育が重要 |
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生まれてきた子供の聴覚に異常がないかどうかを調べる新生児聴覚スクリーニングと、音を電気信号に変えて聴神経に直接伝える人工内耳。この2つがそろったことで、以前はろう学校に行っていたような重度難聴の子供でも普通の子供と同じように話せるようになり、普通の学校に通えるケースも増えそうだ。 現在、スクリーニングを受けているのは全新生児の3割程度とされ、専門家は「全出生児に対して実施されるべきだ」と指摘している。 ▽歌も歌えるように ![]() 「こんにちは。6歳になりました」 4歳の時に人工内耳を付ける手術を東京大病院で受けた女児は手術の約2年後、耳鼻咽喉(いんこう)科の加我君孝(かが・きみたか)教授の問い掛けに元気よく答えた。言葉ははっきりしており、普通の子供とほとんど変わらない。 手術を受ける前、女児は補聴器を付けていたが効果が乏しく、声も難聴児特有の分かりにくい発音だった。だが人工内耳を付けたことで人の声をよく聞き取れるようになり、発音も驚くほど明瞭(めいりょう)に。歌が歌えるようになり、ピアノも演奏できるようになったという。 生まれてくる子供のうち難聴児は500-1000人に1人程度とされる。言葉を覚えるには幼いうちに言葉を聞いて脳を刺激することが重要とされ、言葉をはっきり聞き取れない難聴児は早く発見して補聴器を使うなど適切に教育する必要がある。 だが従来の母子健診などでは1、2歳になるまで難聴が見つからないケースが多い。「様子を見るように」などと言われ、難聴に気が付くのが遅れがちだったという。 ▽早いほど効果大 このような中、2000年から新生児聴覚スクリーニングが厚生労働省のモデル事業として始まった。現在、北海道、岡山県など14自治体で実施されており、ほかに独自に行っている産科医療機関もある。 検査方法は自動聴性脳幹反応と耳音響放射の2種類。いずれも音を聴かせて反応をみる方法で、赤ちゃんが寝ている間に簡単に終わる。 「ゼロ歳で難聴を発見し補聴器を付けて教育した子供は言語の能力が普通に聞こえる子供と変わらない。しかし1歳、2歳と発見が遅れるほど補聴器を付けて教育しても言語の能力が少しずつ低くなる」(加我教授) スクリーニング開始後は、重度難聴で補聴器の効果が不十分な場合に人工内耳の手術希望が急増し、2歳で手術するケースが全国的にも最多に。個人差はあるが「手術が早いほど言葉の獲得と発音が良いことも分かってきた」という。 ▽頭皮下に小さな装置 ![]() 音は鼓膜から内耳に伝わり有毛細胞という感覚細胞によって電気信号に変えられるが、難聴の人はこの部分が壊れていることが多い。人工内耳は鼓膜や有毛細胞の代わりにマイクや小型プロセッサーで音を電気信号に変換し、耳の奥の蝸牛(かぎゅう)という器官に挿入した電極から聴神経に伝える。 手術で頭皮の下に小さな装置を埋め込み、2、3週間後に「音入れ」という作業で音が適切に聞こえるように調整する。マイクなどの体外装置は簡単に取り外すことができ、水泳なども可能だ。 「人工内耳を付けても100%正常な聴覚を獲得できるとは言えないが、言葉の聞き取りと理解では素晴らしい成果を挙げている」と加我教授。 国内でこれまでに人工内耳を付けた人は約3700人。東京大病院では月に2人程度手術しており、最近では就学年齢に達した子供の多くが普通の小学校に通うようになっているという。 |