体質に応じた予防策を
糖尿病患者、50年で31倍に

 
 同じだけ食べたり太ったりしても糖尿病になりやすい人となりにくい人がいる。国立健康・栄養研究所部長で東京大の門脇孝(かどわき・たかし )教授は同研究所の公開セミナーで「体質に応じたオーダーメードの予防策をとれば糖尿病はほぼ完全に予防できるようになるだろう」と肥満と糖尿病に関する最近の研究成果を紹介した。
 国内の糖尿病患者は約740万人、いわゆる患者予備軍は880万人とされ、患者はこの50年間で31・5倍に急増した。糖尿病で起きる合併症は失明、人工透析、下肢切断、脳卒中、心筋梗塞(こうそく)など。いずれも生活の質への影響は重大だ。

  ▽小太りになるだけで
 「欧米人は少し太っただけでは糖尿病になりにくいが、日本人は小太りになるだけで糖尿病になりやすい」と門脇教授。
 これは日本人の膵臓(すいぞう)から出るインスリンの量が欧米人の半分しかないためで、欧米人は肉食の長い歴史の中で膵臓の細胞がインスリンをたくさん出せる体質を獲得したのだという。
 逆に「飢餓の時代が長かった日本人は食べたものをエネルギーとして消費せず、脂肪として蓄積する体質」となった。食糧が少ない時代には有利だったが、高脂肪食、運動不足の現代では肥満になりやすく、欧米人以上に糖尿病が増えている。
 門脇教授によると「肥満の人はパンパンに張った脂肪細胞からインスリンの働きを邪魔する物質がたくさん出ている」。その結果、肝臓や筋肉に脂肪がたまって糖を取り込まなくなり糖尿病になってしまう。
   
 ▽体重を5%減らせば予防効果
 太っていない人の脂肪細胞はアディポネクチンという善玉のホルモンを出し、筋肉や肝臓で脂肪をどんどん燃やす。だが日本人の約40%はアディポネクチンを出しにくい体質。昔は問題なかったが、欧米型の生活習慣を取り入れたため小太りになり、脂肪細胞が肥大してアディポネクチンが出にくくなった。
 「糖尿病になりやすい体質なのか、太りやすい体質なのかということを調べておいて、そういう体質でなければ食生活や運動に神経質になる必要はないのかもしれない」と門脇教授。
 ただし、もし太りやすい体質、糖尿病になりやすい体質ならば、子供のころから食事や運動に気を付ける必要がある。最近の研究では糖尿病予備軍でも体重を5%減らせば糖尿病の予防効果があることが分かってきた。
 「あくまで適正体重を維持する食事や運動が基本。それがうまくいかない場合でも、将来は食べ過ぎても太ったり糖尿病になったりしない、さまざまな薬が出てくると思う」という。



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