低周波振動で床ずれ防止
東大などが新装置開発

 寝たきりや体の向きを変えられない人で、足や腰の皮膚の血流が悪化し、組織が崩れることもある褥創(じょくそう)(床ずれ)。その防止に役立つ装置を、東京大と電子機器メーカー、マツダマイクロニクス(千葉県柏市)が開発した。低周波振動で血流を良くする仕組みで、医療機関向けに約10万円で販売を始めた。

 

▽医療費の増大を懸念
 床ずれは、長時間同じ姿勢で寝ることで、マットレスや布団に接する皮膚の血液の流れが悪くなり、皮膚や皮下組織、筋肉への酸素が不足、老廃物がたまって細胞が壊死(えし)して起こる。骨が突出しているかかと、くるぶし、尾骨のあたりにできやすい。最初は赤くなる程度だが、重症化すると皮膚がただれたり傷が開いて骨が露出したりすることもあり、激しく痛む。
 日本褥創学会の調査によると、床ずれは高齢の入院患者の6・4%で発生。社会の高齢化に伴い今後、床ずれに悩む高齢者が増え、本人だけでなく介護する人の負担や医療費の増大につながると懸念されている。


▽血流を促進させる

 床ずれ対策としては、介護者に定期的に姿勢を変えてもらったり、体重を分散させるマットを使ったりしているが、血流が悪くなるのを遅らせるのがやっと。真田弘美東大教授(創傷看護学)は「血流を積極的に促進させては」と考え、装置開発に取り組んだ。  装置は長さ62センチ、幅18センチ、厚さ1センチの板状で、マットレスの下に差し込んで使う。スイッチを入れると1秒間に47回、水平方向に振動。振動数が多すぎると、かえって血流が悪くなり、眼球などが共振して気分も悪くなるという。  単調になるのを防ぐため、15秒周期で振幅が大きくなったり小さくなったりして、振動の幅は0.17―0.37ミリで4段階に調節できる。

▽介護施設などでの利用を
 真田教授らは、指で押しても皮膚の赤みが消えない初期の床ずれができている患者22人で試験。1回15分を1日3回、1週間試してもらい、足の9カ所と尾骨周辺の24カ所で変化を調べた。
 赤みが小さくなったのは、足で7カ所、尾骨周辺で21カ所。このうち、足の3カ所は2―5日で、尾骨周辺の11カ所は2―7日で、赤みが完全に消えたという。
 同社は重度の床ずれにも効果はあるとみているが、初期段階での使用を想定。開発費を助成した科学技術振興機構は「病院や介護施設などでの利用が期待できる」としている。マツダマイクロニクスは電話04(7143)8100。


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