|
重要な会議や試験のとき、通勤の電車内などで急に腹具合が悪くなる過敏性腸症候群について、国際的な診断基準「ローマ3」作りに携わった国立病院機構さいがた病院(新潟県上越市)の松枝啓院長に聞いた。
―治療の4、5段階は何ですか。
「食事療法、薬物療法です。快便感は直腸とS状結腸が空になることで得られ、それには固形の便を強力な蠕動(ぜんどう)運動で一気に排出することが必要です。ところが、下痢型では出したとたんに上流から液体便が直腸に流入し、便秘型では残便感があるため、トイレにこもることになる。腸の中の便の量を十分に増やして大腸の内圧を高めれば、自然に蠕動運動が高まります」
―量を増やすには。
「重要な因子が食物繊維で、1日20―35グラム摂る必要がありますが、現状は6、7グラム。昔の食事に戻れ、と言いたい。朝から、ご飯、具だくさんのみそ汁、野菜、海藻などを食べましょう。野菜は煮れば、かさが減ってたくさん食べられます。下痢型の人は冷たい飲み物は控えること。アルコールは強力な下剤なので避けるべきです」
―治療薬にはどのようなものがありますか。
「人工繊維とも言えるポリカルボフィルカルシウムで、紙おむつにも応用される高分子重合体です。飲んで腸に達すると、水分を吸収して適度な硬さを保つため、下痢型にも便秘型にも有効です。これに加え、下痢型では胃粘膜を麻酔し腸の反射を抑制するトリメブチン、便秘型は蠕動運動を調節するモサプリドやイトプリドなどを投与します。乳酸菌製剤や、痛みを和らげる抗コリン剤を使うこともあります」
―完治しますか。
「95%の人は、まずまずと感じてくれているようです。わたしは、100点満点を目指すのではなく75点で満足しなさい、と言っています。食事ができ、散歩ができ、会社に行って家族が養えればいいじゃない、野球の打者だって4割も打てないのだから、と」(終)
|