基準値完成し活用へ
男性更年期障害

 
 疲労感や無気力、ほてりなど、年配男性が訴える諸症状は「男性更年期障害」という病名で知られるようになった。だが実際には、疾患としての概念や診断基準が確立しておらず、医療の現場では対応に苦労している。
 というのは、「更年期」を裏付ける男性ホルモンの減少を調べる際、基準となる数値が、これまできっちりしていなかったからだ。昨年やっと血中の男性ホルモンの基準値が出来上がり、今後、診断やホルモン補充療法に活用されるようになりそうだ。
  ▽男性ホルモンで改善
 「『元気がない』『疲れやすい』などの切実な症状を訴える患者さんたちの中には、男性ホルモン投与などの治療でよくなる人もいる。しかし、本当のうつ病の患者さんだった場合、不正確な対応により、よくならないで自殺などをされてしまっては困る。その点で、はっきりとした線引きが必要だった」と金沢大医学部泌尿器科の並木幹夫(なみき・みきお)教授。
 「病名の方が先にマスコミで話題になってしまったこともあり、男性ホルモンが減っていない人でも、うつ症状になると泌尿器科を受診するようになっている」
 並木教授ら泌尿器科医や内科医は、男性ホルモンの基準値作りへ向けた検討委員会を立ち上げ、20-77歳の男性約1100人を対象に血中の男性ホルモン量を測定。
 その結果、男性ホルモンは日内変動があり、午前中は安定しているが、午後に低下することなどが判明。さらに男性ホルモンの中で最も主要な働きをする遊離テストステロンが加齢とともにはっきり減少することがデータで裏付けられ、10歳ごとの各年齢階層に分けた基準値が出来上がった。
 今後、この基準値を用いてホルモン補充療法の適応が決められることになりそうだ。
   
 ▽ストレスを除く治療も必要
 うつ症状もホルモン療法で治ることがある。難しいのは50-60代に多いストレスが、男性ホルモンの分泌を抑えていることがあるという点だ。ストレスで男性ホルモンが大幅に減ることは動物実験でははっきりしており、場合によってはストレスを除く治療が必要になってくる。
 診断を間違えると、男性ホルモン投与で、前立腺がんは悪化し、あるいは多血となって血が固まることにもなりかねないという。
 並木教授は「まず男性更年期障害の診断は、男性ホルモンが減少しているかどうかが大事。現在、診断を助ける質問紙なども含め、診療ガイドラインを作成している」と話している。



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