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普及進むITナイフ 胃の内視鏡手術で |
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早期の胃がんでは、内視鏡によるがん組織の切除が広く行われているが、従来の方式では難しかった、範囲の大きながんの一括切除に「ITナイフ」という器具が普及してきた。がんの取り残しも少なく、外科手術で胃を摘出していたような患者が、内視鏡手術で済んだ事例も増えている。 ▽体への負担少なく
従来の内視鏡手術はEMRと呼ばれる。内視鏡の先端から輪の形をしたワイヤ
を出してがんを囲み、高周波電流で焼き切る。開腹手術に比べ体への負担が少なく、手術後の食生活への影響も小さいことなどが利点だ。日本胃がん学会の指針などによると、内視鏡手術が可能ながんは原則として、層に分かれている胃壁の一番内側にある「粘膜」にとどまり、リンパ節に転移がないケース。 さらに、がんの大きさが基本的に直径2センチ以下なことも条件だが、実際には2センチより大きくても、リンパ節転移の可能性が少ないと判断され、患者が高齢で開腹手術が難しい場合などには、EMRを繰り返して分割切除することがある。小さながんでも、切除が難しい場所にあるような場合は同様だ。 国立がんセンター中央病院の斉藤大三・内視鏡部長は「分割切除では、後でがんの広がりを評価したり、転移の可能性を判断するのが難しい。正確な診断には一括切除が望ましい」と話す。 ▽先端に絶縁体 1996年に臨床応用され、昨年5月に製品化されたITナイフは、高周波でがんの周囲を焼き切る点はEMRと同じだが、ナイフが針状だ。ワイヤの輪の大きさに左右されるEMRに比べ、切除範囲は広がる。 手術は、がんの下の部分に生理食塩水などを注入し、粘膜をその下の粘膜下層から浮かせる。その後、がんの近くに開けた小さな穴からITナイフを差し込み、がんの周囲を切開する。 この際、普通の針状ナイフでは、先端が胃壁に穴を開ける恐れがあるため、ITナイフは絶縁体であるセラミック製の小さな玉を付け、先端に高周波が流れないようにした。「針の横で切っていくので、先端で穴を開ける心配は小さくなった」(斉藤部長)という。
▽一括切除率が向上これまでに約160の実施例がある国立病院四国がんセンター(松山市)は、転移の可能性など内視鏡手術の適応を慎重に判断した上で、全体の約7割を2センチを超えるがんの切除に利用した。最大は約6センチだった。 担当の遠藤久之・内科医師は「大きいがんの切除と同時に、2センチ以下のがんも大半が1回で取れるようになったことが重要だ」と話す。 同センターの場合、2センチ以下のがんの一括切除率はEMRで60%台だったが、ITナイフでは95%前後に上がった。現在は、早期胃がんの内視鏡手術はほぼ全例がITナイフ使用だという。 ただ、手術時間はEMRより長くかかり、出血量も増えやすい。胃壁に穴があく危険性も施設によって1―2%は残るが、処置は通常、内視鏡で可能だという。 手術水準向上のため、技術的課題を討議する「消化管内視鏡治療研究会」も発足した。斉藤部長は「ITナイフ以外の切除器具も開発が進んでいる。がんの状態や場所に応じ、適切な器具を使い分けて一括切除するのが標準になっていくだろう」と話している。 +font> |