無意味な行為が止まらない
家族巻き込む強迫性障害

 手が汚れている気がして何回も洗ってしまう。施錠したか気になり、何度も確認する―。こんな症状が特徴なのが、不安障害の一つ「強迫性障害」。治療に抗うつ薬が使われるようになり、症状はかなり改善するようになっているという。

  患者は、特定の考えや不安などが繰り返し意識に浮かび、それを一時的に解消する行動を何度も繰り返す。しかも、本人も「ばからしいことをしている」と認識しながらやめられない。
 
多様な症状

洗浄行為や確認行為のほかにも「他人を傷付けそうでナイフやハサミに近づけない」「ごみをため込む」「身の回りの物の位置に異常にこだわる」「何かをする際、決めた手順を異様に守る」など症状は多様だ。
 誰にもありそうなことだが、日常生活に支障が出るほどエスカレートし、家族も巻き込むことが多いのが特徴。
 「入浴に5時間という人もいた。帰宅後すぐ体を洗えるよう、玄関脇に風呂を作った人も。奇行で有名だった米国の大富豪ハワード・ヒューズもこの病気だったとされている」。昭和大医学部の上島国利(かみじま・くにとし)教授(精神科)はこう話す。
 米国の調査では、一生の間にこの病気にかかる人は1.6%。人前に出るのが怖い「社会不安障害」やすべてのことが心配になる「全般性不安障害」などの他の不安障害より低いが、上島教授は「ここ数年、受診者が増えている」と強調する。

 ▽うつ病を併発

 青年期の発症が多く、患者の多くはうつ病を併発するほか、摂食障害やアルコール依存などを伴うこともある。
 治療には薬物治療と、患者を意図的に強い不安に直面させた上で、その解消行為をさせずに状況に慣らす行動療法が併用される。
 治療薬にはかつては抗不安薬や抗精神病薬が使われたが、ほとんど効果はなかった。しかしうつ病と同様、神経伝達物質のセロトニンの不足で脳内の情報伝達障害が発症に関与することが分かり、抗うつ薬SSRIが使われるようになった。
 上島教授は「服用して1カ月ほどで効果が表れ、劇的に改善した人もいる。おかしいと思ったらなるべく早く受診を」と呼びかけている。ただ症状が治まっても再燃することもあり、「少なくとも1年程度は服用の必要がある」という。


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