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重要な会議や試験のとき、通勤の電車内などで急に腹具合が悪くなる過敏性腸症候群について、国際的な診断基準「ローマ3」作りに携わった国立病院機構さいがた病院(新潟県上越市)の松枝啓院長に聞いた。
―なぜストレスが腸に影響するのですか。
「脳の神経細胞と腸の神経細胞は、呼吸や循環などを制御する自律神経を介して、ネットワークを組んでいるからです。脳がストレスを感じると刺激は腸に伝わり、腸の運動が異常になったり、知覚過敏になったりします。腸の不調は脳に伝わり、
不安が増して症状がさらに悪化する、という悪循環を起こします」
―「腸と脳は一体」ということですか。
「受精卵が胎児に育つ過程では、脳より先に腸の神経細胞のネットワークができるのです。腸を『第2の脳』と言う人もいますが、発生学的には腸は『第1の脳』と呼ぶべき存在です。わたしは患者さんに、脳が賢い人は腸が敏感なのです、と話しています。脳と腸のネットワークは『脳腸相関』として近年注目されていますが、『腹が立つ』『はらわたが煮えくり返る』という言葉がある通り、日本人は古くから、ストレスが腹に影響することを知っていました」
―患者は増える一方のようです。
「患者の増加は、ストレス社会、肉体労働が減った社会、成熟した社会の到来が原因と考えています。ストレスはいい汗をかくことで解消されますが、肉体労働や運動が減っている。成熟した社会では、時間と経済的余裕ができるため、腹の具合に必要以上の関心を払い、それが症状を悪化させるのです」
―他の病気につながる恐れは。
「まずありません。ただし、潰瘍(かいよう)性大腸炎やクローン病、大腸がんなど、症状が似た病気があるので、勝手に過敏性腸症候群と思い込まないことです。また、子供では登校拒否の大きな原因になっています。消化器科や心療内科の専門医を受診した方がいいでしょう」(続く)
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