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体全体を輪切り状に撮影した膨大な画像データをコンピューターで判定し、複数の病変を一気に見つけ出す診断支援システムを、東京農工大や山口大など8大学が共同開発した。画像データと、あらかじめ入力してある臓器や病変
の特徴とを照合し、異常のある部位を表示。それを医師が詳しく読影することで、多臓器、多疾病の診断につなげようというものだ。
▽すべてチェック
体内の異常やがんの画像診断には、エックス線で厚さ1ミリ単位の体の輪切り画像が得られるコンピューター断層撮影(CT)が、よく使われる。
デジタルデータを処理することで、臓器や組織を立体的な画像で映し出せ、あらゆる方向から見ることも可能になっている。
患者1人で1回に数百枚から千枚を超える画像を撮影することもあるが、調べたい部位以外の画像は使われなかったり、詳細に読影されず異常が見落とされたりする可能性もある。
開発グループ代表の小畑秀文東京農工大学長は「画像には、いろいろな病変が写っているかもしれない。医師1人では見られないほど多くの画像でも、疲れないコンピューターならチェックできるので、すべての画像を診断対象にしようということです」と、システムづくりに取り組んだ理由を説明する。
▽3次元カラー
病変は病気の種類によってさまざまで、例えば、肺炎は白っぽく写り、肺がんならいびつな形、肺線維症は網目状の模様になる。 開発グループは、こうした病変の特徴や、臓器の形、大きさなどの情報を、多くの症例を基に数値化した。「医師が持つ知識や診断の論理を数値に置き換えるのです」と、開発メンバーの1人で放射線科医でもある木戸尚治・山口大教授(応用医工学)。
コンピューターは、このデータと、入力された患者の画像データを照合。
がんや脂肪、肺炎、動脈硬化の可能性を示す心血管の石灰化、腫瘤(しゅりゅう)(小さな塊)などの項目を指定すれば、これらが体のどこにあるのかが、3次元カラー画像でモニターに映し出される。一括表示や、項目別に取り出して映したり拡大したりもできる。
臓器や病変部の形状、体積や、治療前後のがんの大きさがどれだけ変わったのかが一目で分かる機能もある。データを加えれば、がんの悪性度の変化を表示できるようになる。
▽1回のCTで
また、画像はマウスの操作で自由に回転でき、体の上下左右、あらゆる角度から見ることが可能。腸管の中を飛んでいるような目線で移動したりもできる。
現在の対象は、肺、胃、肝臓、膵臓(すいぞう)、腎臓、骨など。医師が気付きにくい小さな病変でも見つけるのが得意だが「最終的に診断するのは、あくまでも医師。システムは、多くの情報を提供して医師を助け、診断の精度や医療の質を上げるのが目的です」(木戸教授)。
臨床応用するには有効性や精度の評価が欠かせず、そのためには、より多くの患者のデータが必要だという。 木戸教授は「コンピューターの性能の向上により、今後どんどん進化するシステム。1回CTを撮れば、さまざまな病気が見つけられるように、10年後の臨床応用を目指したい」と話している。
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