『不眠症-2』

 一番の原因は脳の緊張 
内山真・精神保健研究所部長

 
  

 ―そもそも不眠はなぜ起きるのでしょうか。

 「眠りの調節機構は大きく分けて3つ。まず毎晩一定の時刻になると自然に眠くなる仕組み。これは体内時計が制御しています。次いで、疲れ具合や睡眠不足の度合いに応じて脳を休ませる恒常性調節系があります。いわば休養を取り、回復するための眠りです」

 ―もう1つは。

「眠ると危険な時に、脳を緊張させて眠らせない仕組み。気分や情緒と関連した大脳辺縁系の機能です。大地震の被災者が『不安で眠れない』と訴えるでしょう。危険な状況が続くうちは不安でよく眠れない。試験の前に眠れなくなるのも同じ理由によるものです」

 ―これらの調節の乱れが不眠の原因ですか。

「そうです。体内時計の乱れには一定の時間まで眠れない睡眠相後退症候群や、逆に早く眠くなる睡眠相前進症候群があります。でも不眠が慢性化する一番の原因は脳の緊張です」

 ―それはなぜですか。

 「寝付きに苦しんだ経験があると、布団の中で『また眠れないんじゃないか』と心配になる。こうした不安で緊張が高まるからです。試験が原因なら、試験が終われば解決する。でも『また眠れないのでは』という不安は毎晩襲ってきます」

 ―高齢者にも多いそうですが。

 「体内のメラトニンという物質の分泌が減り、もともと眠りが浅くなりがちです。体が求める睡眠時間が若いころより減っているのに、昔のように寝ようとして悩んでしまうこともあります」

 ―大事なのは早く医師に相談することですね。

  「まずはかかりつけの先生で結構です。手に負えないようなら精神科や心療内科を紹介してくれるでしょう。かつては医師も不眠は重視しませんでしたが、最近は認識が改まってきました」


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