『不眠症-1』

 ほかの病気の引き金にも 
内山真・精神保健研究所部長

  現代人の5人に1人は抱えるとされる不眠の悩み。年を取るほどひどくなるとされるだけに、社会の高齢化とともに一層の深刻化が予想される。不眠の現状や対策について国立精神・神経センター精神保健研究所の内山真(うちやま・まこと)部長に聞いた。

  

 ―まず「不眠症」とはどういうものか教えてください。

 「世界保健機関(WHO)の定義では、症状と継続性、影響の3つで決まります。具体的には寝付きの悪さや夜中の目覚め、熟睡感の無さが、週3回以上で1カ月以上続き、しかもそれが日中の仕事や生活に影響している場合です」

 ―患者は多いのでしょうか。

 「有名な睡眠時無呼吸症候群(SAS)をはじめ、『睡眠障害』は多様で、約80種類もの病気が分類されています。中でも不眠症は患者が最も多い分野で、病気の数は11種類に上ります」

 ―不眠イコール不眠症なのですか。

 「実は不眠を病気ととらえて本格的な研究が始まったのは比較的最近で、1970年代です。その結果、不眠といってもいろいろな原因があることが分かりました」

 ―例えば。

 「SASの人が不眠で受診することもあるし、ムズムズ脚症候群や周期性四肢運動障害など、神経内科的な異常感覚や不随意運動で眠りが妨げられる人もいる。こういう人にいくら睡眠薬を処方しても効果はなく、別の治療が必要です」

 ―では不眠症は。

 「こういう要因が見当たらない人です。各国とも不眠を訴える人の割合は20%程度ですが、不眠症はその半分を占めます。不眠は血糖値を上昇させたり、うつ病の引き金になるとされるなど、別の病気を起こしたり悪化させたりする、治療が必要な病気なのです」

 

 


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