がん患者の支援技術開発へ
静岡がんセンター

 
 「薬の副作用で困っている」「再発のことが頭から離れない」―。がんの治療を終えたり、治療しながら暮らしたりしているがん体験者は現在、約300万人いるとされ、その多くがさまざまな悩みを抱えている。静岡がんセンター(静岡県長泉町)はこのようながん体験者の悩みを分析し、体験者、家族の悩みや苦痛を軽減するための支援ツールの開発に取り組んでいる。

  ▽多岐にわたる要望
 「がん体験者やその家族を支援していくために一番大切なのは、がん体験者自身の視点で真のニーズを押さえること」と患者・家族支援研究部の石川睦弓(いしかわ・むつみ)主任研究員。
 こうした考えから、同主任研究員らは厚生労働省研究班が2003年に53医療機関、15患者会・患者支援団体を対象に実施したアンケート結果を利用。がん体験者7885人から得られた悩みや負担などに関する回答を分析し、具体的な支援ツールを開発に役立てる方針だ。
 アンケートで寄せられたがん体験者の要望は多岐にわたる。
 日常生活に必要なツールでは「手術の影響で決まった姿勢でしか眠れない人の安眠を助ける道具」「傷あとを圧迫しないシートベルト」「人工肛(こう)門の改善」など。経済的な問題では「医師が示す治療を行うには実際いくらぐらいかかるのか」「治療が長期になった時の経済的な見通し」なども。
 「患者同士が支え合って会話する場がほしい」「同じがんの経験者の話が聞ける機会がほしい」などコミュニケーションに関する要望、さらに「副作用、後遺症をまとめたもの」「化粧、かつら、帽子など外見の変化への対応方法」などの情報提供を求める声も多い。
   
 ▽悩みのデータベース
 現在は、こうしたがん体験者の生の声を体系化した「悩みデータベース」を作成中。石川主任研究員は「がん体験者にとって先人の経験は大切な情報であり、データベース自体が支援ツールの一つになる」と話し、がん体験者らが簡単に利用できる仕組みにしたい考え。医療関係者による日々の診療やケアへの活用が期待されるほか、患者同士の情報交換や日常生活などを支援する新たなツールの開発にもつなげたいとしている。
 同センターの山口建(やまぐち・けん)総長は「陽子線治療など先端治療の対象者は患者100人中数人程度だが、悩みの問題は百人いれば100人が関係する。患者・家族はさまざまな治療法の中で悩んでおり、このような分野は非常に重要になってくると思う」と話している。



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