ドクターヘリの充実を
東京で国際シンポ

 同乗した医師が現場で治療を開始し、患者を病院へ運ぶドクターヘリ。交通事故はもとより、脳卒中や 心疾患など、一刻を争う急性期の治療に威力を発揮し、救命率の大幅な向上につながる。しかし日本での 普及は遅れているのが現状だ。
 その状況の解消を目指す民間非営利団体(NPO)の救急ヘリ病院ネットワーク(HEM―Net)は このほど、〝先進国〟のドイツ、スイス、米国の専門家を招き、東京で国際シンポジウムを開催した。普及を妨げている運用費負担の在り方を探るのが目的だ。

  9道県で10機

 日本では2001年度から国の補助で導入が始まったが、現在の運用数は9道県十機。全国をカバーす る状態には程遠い。運用費は国と県の折半だが、それでも年間負担は一億円近く。財政難で導入に二の足 を踏む自治体も多い。
 阪神大震災で整備が進んだ消防防災ヘリも全国に69機あるが、基地に医師は常駐せず、医療器材も常 備していないため、ドクターヘリの利点である早期対応は難しい。さらに一機しかない県が大半で、そも そも救急には使いにくいという。
 ドイツのドクターヘリは1970年、アウトバーンの交通事故に対応するため、ドイツ自動車連盟(A DAC)が始めた。現在、約120人の操縦士、ヘリ44機を抱え、年間3万4千件以上の出動をこなす 。
 内務省や軍などのヘリを合わせると約80機が全国を網羅。要請から2分で離陸、平均8分で到着する 。年間2万人を超えていた交通事故死者は3分の1以下になった。
 途中、やはり財政難で政府が手を引いたが、ADACの担当者は「経費の87%は医療保険で賄われ、 残りはの会費で補てん。問題はない」と説明した。

  行政の人に知恵を

 スイスはやはりNPOのREGAが一手に対応。国内に13カ所の基地を置き、どこへでも15分以内 に到着する。政府の助成はなく、会員制が柱。約2700円の年会費を払った会員の搬送費は無料で、そ の他の人は保険などでカバーする。  このほか、ヘリの機体に広告を入れて経費を賄うニュージーランドなどの例も紹介された。
 ドクターヘリを運用する川崎医大病院(岡山県)高度救命救急センターの荻野隆光(おぎの・りゅうこ う)副医長は「現状はもどかしい。財源難なら企業の寄付や保険など、多様な資金を組み合わせるのも手 。現場の医師もできることはするので、行政の人に知恵を絞ってほしい」と訴えた。


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