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手術のときに、患部を切除した部位や周りの臓器などで組織同士がくっついて起きる癒着を防ぐ技術を、東京大などが開発した。食品や医薬品に利用されているトレハロースなどの液体でバリアーを作る仕組みで、動物実験で効果を確認。まず、癒着が起きやすい産婦人科手術での臨床研究に取り組む考えだ。
▽癒着頻度は55%以上
手術の際、がんなどを切り取ったところや縫合した部位で組織が癒着したり、腸管などの臓器同士がくっついたりすることがある。腹部手術での発生頻度は55%以上、産婦人科手術では約90%とのデータがあり、腹部の痛みや腸閉塞(へいそく)、不妊の原因にもなる。
東大家畜病院の佐々木伸雄院長(獣医学)は「メスが入ることによる損傷、出血のほか、開腹に伴う乾燥による粘膜表面の炎症など、多様なルートを経て癒着が起きると考えられます」と話す。
医療現場では、糖類のセルロースの一種などを原料にしたシート状の癒着防止剤で覆う方法が、主に用いられている。だが、つけにくかったり、はがれることがあったりする難点が指摘され、患者の体に小さな穴を開けて行う内視鏡手術では、穴から入れにくいため使用が難しいという。東大や医療技術開発会社ネクスト(東京)などは、トレハロースという糖類に癒着を防ぐ効果があることを見つけ、臓器全体に噴霧する手法を考案。さらに、シート状癒着防止剤とほぼ同じ成分のセルロース素材に粘着性を持たせ、切開・縫合した部位を狙って噴射できる装置を開発した。
▽2010年頃には実用か
ウサギの子宮と卵巣を摘出する実験では、トレハロースを霧吹きで5回程度、周辺の臓器に吹き付け、これを15分ごとに5回繰り返した。切除部にはセルロース素材を数グラム噴射した。
防止措置を取らなかった14匹では、はがせない重度の癒着は90%の部位で発生し、軽度のものは10%。噴射した14匹では重度9%、軽度18%、癒着なし73%で、有効性を確認した。トレハロース、セルロースは、食品、医薬品などに利用されており、安全性に問題はないという。
開発グループは「東大病院の倫理委員会の承認を経て、子宮や卵巣のがん、子宮内膜症などの患者を対象に臨床研究を実施し、2010年ごろには本格的に実用化したい」としている。
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