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目の網膜の様子を立体的に表示できる「3次元眼底像撮影装置」を、光学・精密機器メーカー、トプコン(東京都板橋区)が開発した。昨年8月に販売を開始、増加傾向にある緑内障や糖尿病網膜症、加齢黄斑変性症など、網膜の病変の診断に威力を発揮している。
▽赤外線照射
装置の外見は、パソコンのディスプレーを除けば、健康診断で見かける眼底カメラと変わらない。レンズをのぞき込みまばたきを我慢していると、赤い線が上から下に動き、最後にピカッと光って終わり。間もなく、ディスプレーの左半分に赤い線のスキャンを基にしたカラフルな3次元画像が、右には「ピカッ」で撮影した眼底のカラー写真が映し出された。
「眼底を3次元で撮影できる装置を市販するのは世界で初めてです」と、同社医用機器事業部事業企画部の鈴木英晴部長は誇らしげだ。
装置の原理は、生体に2、3ミリ入り込む赤外線を当て、散乱、反射してきた光を解析して断面図を作る光干渉断層計(OCT)。1980年代に開発され、これまでは平面的な断面しか描写できなかったが、トプコンは谷田貝豊彦筑波大教授(応用光学)と共同で、データ処理の方法やセンサーを改良した。
▽解像度2倍に
完成した「3D OCT―1000」は、3・5秒のスキャンで、網膜の六ミリ四方の範囲の3次元断層画像を作成。解像度も従来の2倍、奥行き方向では1000分の5ミリのものを見分けることができる。
3次元画像の利点は大きい。病変部が山のように盛り上がっている場合、2次元では狙いが正確でないと、頂上を含む断面を見たつもりが実際はふもとだった、ということにもなりかねない。
3次元では山全体を立体的にとらえられるため「装置を扱う人の熟練度に関係なく撮影でき、病変を見落とす可能性が大幅に減る」(鈴木部長)という。
眼底の病変は、さまざまだ。物が最もよく見える網膜の中心部に、新しく血管ができたり黄斑が委縮したりして起きる加齢黄斑変性症。成人の失明原因のトップで、眼圧が正常範囲でも病変が見られる緑内障。糖尿病の合併症の一つである糖尿病網膜症。いずれも失明につながりかねず、早期発見と治療が欠かせない。
▽治療効果判定も
3次元画像装置は、こうした病気の診断に威力を発揮するだけでなく「これまで見えてなかったものが見えてきている。例えば、光を感じる視神経が特定の場所だけ死んでなくなっている病気があることが分かってきた」と、装置の共同研究に当たった吉村長久京都大教授(眼科)は言う。
また、視神経が集まり脳へと向かう「視神経乳頭」などを目印にして、同じ場所を繰り返し撮影できるので、治療効果の判定や、新しい治療法の開発にもつながると期待する。
注文をつけるとすれば「緑内障の初期には、十層構造の網膜のうち神経線維層が薄くなる。この厚みを自動計測できるようになれば、一般の眼科でも使いやすくなる」(吉村教授)。
一台1500万円と高価であるにもかかわらず注目度は高く、大学病院のほか眼科医院などからの注文や問い合わせも多い。トプコンの販売目標は2006年度下期で100台だが、生産が追いつかず2、3カ月待ちの状況という。
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