良好な状態は3割だけ
糖尿病患者の実態調査

 全国に700万人近くいるとされる糖尿病患者。その過半数が未治療で問題とされるが、既に薬物治療を受けている患者でも良好な状態を維持できているのは3割程度にすぎないことが、富山医科薬科大第1内科の小林正教授らによる患者実態調査で浮き彫りにされた。
 小林教授は「治療中の患者でも“良好”と“まあまあ”を合わせて半分ぐらい。糖尿病患者全体で見ると、75%が放ったらかしか、コントロールがよくない状態だ」と指摘している。
 調査は昨年の7-10月、全国の医師を対象に、肥満などが原因で起こる2型糖尿病患者の治療法について聞き、約6500症例を集めた。
▽6500症例から
 治療法の内訳は食事・運動療法のみが16%、経口剤単剤34%、複数の経口剤27%、経口剤とインスリン注射7%、インスリン注射のみ16%だった。
 患者の状態の把握には「Hb(ヘモグロビン)A1c」を使った。
 「これは赤血球の中にあって、ブドウ糖と結合しているヘモグロビンの占める割合で、パーセントで表示し、血糖値が上がると上昇する。一時的な血糖値ではなく、過去1-2カ月の平均的な血糖状態をよく反映する優れた指標で、正常値は5・8%以下。できるだけ、7から6・5%以下にしたい」(同教授)
▽血糖値検査の10倍が難点
 食事・運動療法だけを行っている軽度の患者を除く約5400人を見ると、平均64歳でHbA1cの平均値は7・2%。1番望ましい6・5%未満は30・6%にとどまり、6・5%以上は69・4%。
 「つまり、薬物療法を実施している患者でも約30%しか、よい状態を守れていない。医療のレベルアップが必要だ」(同教授)
 薬剤の用い方で分けると、経口剤を1つだけ服用している患者のコントロールはよかったが、ほかはよくなかった。  罹病(りびょう)期間が長いほどHbA1cが上昇していた。
 小林教授は「全般的に基本的な治療が守られていない。積極的なインスリンの導入を検討する必要があると思う。しかし、インスリン導入時期については結構難しい。病気の段階だけでなく、年齢や病状も考慮する必要がある。若くてHbA1cが8%以上なら、導入を考慮すべきだろう」と話している。
 HbA1c検査は、費用が血糖値検査の約10倍かかるのが難点という。
 

ヘッドラインへ戻る

記事、写真、グラフィックスの無断転載を禁じます。
2004 Kyodo News (c) Established 1945 All Rights Reserved