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微小磁場を測る心磁計 簡単に高精度診断が可能 |
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心臓から出るわずかな磁場を計測して心機能の異常を見つける「心磁計」という新しいタイプの検査システムが世界で初めて日本で承認され、近く全国の大学病院などへの本格導入が始まる。従来の心電図検査では分からなかった心臓の異常を簡単に診断できるため、健診センターなどへ普及すれば心電図検査に置き換わるかもしれない。 ▽ゆがみのない情報 ![]() 「心磁計は体に害を与えず、短時間で、非常にクリアな心臓の情報を得ることができる」 心磁計の開発に当たり共同研究を行った筑波大病院循環器内科の渡辺重行(わたなべ・しげゆき)助教授はこのように述べ、心臓病の早期発見に心磁計が役立つことを期待する。 心臓の拍動のリズムは心筋を流れる電流が制御しており、従来の心電図検査は体表に電極を張って心臓から漏れ出る電流を測る。しかし、臓器や骨の導電率が均一でないため電流の波形は体表に伝わるまでにゆがみ、「曇りガラスを通したようにぼやけた情報になってしまう」(同助教授)。 これに対し、心磁計は心筋を流れる電流が周囲につくる磁場を測り電流を逆算する。地磁気の約100万分の1以下と極めて弱いが、体内の透磁率がほぼ均一なためほとんどゆがまない。磁気シールドでノイズを遮断し、超電導を応用した高感度磁気センサーを使うことで計測が可能になった。 検査を受ける人は、金属のボタンなどを身につけていなければ衣服を着けたままシールド内のベッドに横になるだけ。数分で終わり、放射線を浴びることもない。 ▽狭心症も発見可能 心臓病は日本人の死因の第2位。このうち狭心症は心臓の冠動脈が狭くなり心筋に十分な酸素が送れなくなる病気だ。酸素が不足すると胸の痛みなどが起きるが、血流が改善すれば症状は治まる。だが、症状が進み、血管が完全に詰まると心筋が壊死(えし)する心筋梗塞(こうそく)に至る。このため早期の診断と治療開始が重要だ。 しかし、狭心症の発作が起きて病院に駆け込んでも、症状は既に収まっていることが多いため、心電図では異常を見つけることは難しい。 渡辺助教授が狭心症の患者30人で調べたところ、半数の15人は心電図が正常だった。これに対して心磁計ではほぼ全員の28人に異常が見つかった。 「心電図に異常が出ない人でもこれだけ簡単、高率に異常を検出できれば、他に類のない検査法になり得る」(同助教授)と期待は大きい。 ▽胎児の異常も ![]() 磁場を測るという心磁計の特徴は出生前の胎児の心臓を調べることも可能にした。 胎児は母胎の中で電気をほとんど通さない胎脂という脂の膜に覆われており、心電計で胎児の心臓の電流を測ることはできない。このため胎児の心臓は通常、超音波検査で調べるが、形しか見えないため異常が分からないこともある。 これに対して磁場は胎脂の影響を受けない。心磁計のセンサーを母親のおなかに当てれば胎児の心臓がつくる磁場を計測することができ、異常があれば見つけることが可能だ。 開発した日立ハイテクノロジーズ(東京)の内藤茂昭(ないとう・しげあき)・心臓磁気計測システム専門部長によると、国立循環器病センターや筑波大との研究では、脈拍が突然速くなる発作を繰り返すWPW症候群や乳児突然死症候群の原因とされる先天性QT延長症候群を世界で初めて胎児で確定診断することに成功した。 胎児の心臓異常を出生前に確定診断できるため、薬剤による胎内治療や、出生直後にペースメーカーを付けるなどの治療も始まっているという。 |